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来星記念インタビュー

2016年5月16日

鈴木大地氏、有森裕子氏来星 日本とシンガポール スポーツの発展に向けた課題と施策とは

web_IMG_7585情操教育への関心高まるシンガポール  今後が楽しみ
バルセロナオリンピック銀メダル
アトランタオリンピック銅メダル
有森 裕子氏

―シンガポールのスポーツ文化についての印象についてはいかがでしょうか。

最初にシンガポールに来たのは随分前になります。周りからも「シンガポールでは一に勉強、二に仕事で、いい大学に行き、きちんとした仕事に就いて裕福に過ごすことが人生の成功例」と聞いており、スポーツは盛んではないなという印象がありました。ただ最近では、シンガポールでもスポーツやアート、音楽といった情操教育に関する関心が高まってきており、かなり状況も変わったのではないかと思います。これからスポーツ文化が大きく発展する可能性のある楽しみな国になってきたなと感じています。

 

―スポーツのさらなる振興に向け、両国の課題や展望についてどうご覧になっていますか。

シンガポールのスポーツ文化はまだまだこれからだと思います。国をあげて、小学校低学年くらいから、スポーツに触れながら成長していくことの重要性について認識を高めていく必要があると思います。日本の場合、スポーツをする環境はありますが、心身ともに健全・健康になるという本来の目的から外れてきているように感じています。アスリートの犯罪が増えたり、スポーツで体を壊す人が増えたりしており、そもそも何のためにスポーツをするのか、スポーツのあり方やスポーツをする人の生き方について、今一度教育が必要なのではないかと思っています。

 

―スポーツを通じた日星関係の発展に向けた具体的な施策について、ご意見をお聞かせ下さい。

今回のスポーツカンファレンスのように、いろいろな年代や層の方を対象にトークショーやシンポジウムを開催し意見交換することは今後も重要だと思います。あとは人材交流ですね。いろいろなスポーツ、種目を通じて指導者を日本に呼んだり、日本から派遣したりといったことが増えればいいのではないでしょうか。大人だけではなく、子供たちを取り込むプログラムを考えていくことも大事です。シンガポールにも素晴らしい環境や文化はあると思いますが、これから日本とのつながりを通じて、もっといろいろなことが学べると思います。また日本もシンガポールから学べることは多いと思います。シンガポールは、多国籍多文化が共存している国で多様性がありますね。多様性を認め合いながら何かをしていくという点で、シンガポールはとても優れているといえるのではないでしょうか。

web_IMG_7576-(2)鈴木 大地(すずき だいち)
1967年3月10日生まれ。千葉県習志野市出身。1988年のソウルオリンピックでは、得意のバサロ泳法を活かし100メートル背泳ぎで金メダルを獲得。1992年に引退後、順天堂大学体育学部講師および同大学水泳部監督に就任するなど、スポーツ科学の研究に取り組むとともに指導者としても活躍。2015年には、スポーツ行政を一元的に担う目的で新たに設置されたスポーツ庁の初代長官に就任した。

 

 

web_IMG_7585有森 裕子(ありもり ゆうこ)
1966年12月17日生まれ。岡山県岡山市出身。女子マラソンの選手として、1992年のバルセロナオリンピックで銀メダル、1996年のアトランタオリンピックで銅メダルを獲得。現在は国内外の被災地や紛争地の子供たちを支援するNPO法人「ハート・オブ・ゴールド」の代表理事などを務める。2016年には、国際オリンピック委員会でスポーツの振興などを担う「スポーツと活力ある社会委員会」のメンバーに起用された。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.302(2016年05月16日発行)」に掲載されたものです。(取材・写真:佐伯 英良)

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