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熱帯綺羅

2010年3月1日

華麗なる映画館キャセイ・ビル The Cathay

マレーシア出身の裕福な中国人ロック・ワントー(Dato Loke Wan Tho)氏が世界の有名な映画を上映するために建てたキャセイ・ビルは、シンガポールで最古の高層ビルです。

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旧キャセイ・ビル時代からのエントランスは永久に保存される。

 

場所はオーチャードとシェントンウエイの中間あたり、MRTドビーゴート駅近くで、マウント・ソフィアの丘を背負っています。建設当時は当地で最も高いビルで、カランの空港に着陸する飛行機はこのビルを目印にしたそうです。

しかしそのどっしりとしたコロニアル風のビルは数年前、丹下建築事務所の設計によって再建され、当時の面影は、エントランス部分とその領袖の花びらをイメージした外壁に残されているだけ。その部分は文化財として永久保存されることになっています。

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旧キャセイ・ビルの外観。

 

マレー語や中国語の映画が上映され、ホテルは映画俳優や外国人客で賑わった

1939年に完成し映画館として営業を始めたキャセイ・ビルは、当時公共の場でエアコン設備のある唯一のビルだったそうです。ゆったりとした肘掛けのある座席、ゴージャスな雰囲気のキャセイ映画館では数多くの映画が上映され、中でも中国語の映画では日本人俳優も出演した『香港の夜』や『Sun, Moon and Stars』などに絶大な人気がありました。

マレー語の映画もマレーの幽霊ポンティアナ(Pontianak)が登場するホラー、あるいはコメディータッチの作品が次々と上映されたということです。1950年代からはビルの一部がホテルに改造され、ヨーロピアンの観光客、また映画俳優や女優らが大勢宿泊するようになり、中華レストラン「キャセイ」(現在も営業)やバーはセレブリティーの集まる華やかな社交場となっていました。

映画や美術、写真を愛したロック・ワントー氏はここで多くの映画を紹介し、またキャセイによる映画制作にも力を注ぎました。しかし1964年、台北で行われたアジア映画祭に出席した氏は台湾国内を移動する途中、航空機事故に遭い、志半ばで亡くなられたということです。

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栄華を極めたホテル時代のレストラン。

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クラッシック映画の女優さん。

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