2021年11月11日
シンガポール航空のイノベーション ~サステナビリティ編~
2021年は、日本とシンガポールの外交関係が樹立されて55周年を迎える年です。
これまで長年にわたり両国の架け橋を担ってきた航空会社、シンガポール航空。
今回は、シンガポール航空のイノベーションの中でも「サステナビリティ」に着目し、5つのストーリーをご紹介します。
シンガポール航空は、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を支持し、2050年までに二酸化炭素の排出ゼロを目指しています。業界をリードするグローバル・エアラインとして、お客様とともに持続可能な空の旅を続けるための取り組みを今回ご紹介します。シンガポール航空のサステナビティ・レポートの最新版はこちらをご覧ください。(英語のみ)
目次
機内ゴミのサステナブル・マネージメント
シンガポール航空グループでは、機内から出るゴミの削減を目指し、2019年にキャビン・クルー部内に「サステナビリティ・タスクフォース」を立ち上げました。ゴミの削減や環境に優しいサービスを提供するためにはどうすれば良いかアイデアを出し、実行しています。機内ゴミ削減のために実施している取り組み事例は以下の通りです。
短距離路線*のエコノミークラス向け機内食の改善
環境にやさしいをコンセプトに、使い捨てのプラスチック製品の包装を辞め、環境に配慮した紙製ボックス型の容器を導入。スプーンなどのカトラリー類は、主に竹や紙を使用して作られた素材のものを使用しています。結果、従来より重量で80%ものプラスチック製品の使用を削減しました。
機内食の事前予約を推奨
機内食に関わるゴミや手つかずの機内食を削減するために、2020年11月からウェブサイトやモバイルアプリの予約管理画面で機内食の事前選択の推奨を強化しています。
機内アメニティから出るゴミの削減
プレミアム・エコノミーおよびエコノミークラスのお客様へのアメニティキットの配布は、リクエストに応じて提供しています。この取り組みは2020年4月からビジネスクラスのお客様にも導入しています。
持続可能な素材を機内で使用する製品に使用
お子様向けのおもちゃの包装にプラスチック袋の使用を廃止し、再生紙を使用しています。またシンガポール航空グループのスクートでは、2020年12月から機内で提供するペットボトルの水を、主に紙やFSC認証記号*を受けた素材で作られた包装のものに変更して提供しています。
機内で提供する書物の電子書籍化
2020年にはこれまでお客様に機内で提供していた印刷された新聞、雑誌、機内食メニューなどはシートポケットから撤去し、モバイル・アプリとデジタル・メニューでご覧いただけるようになりました。コロナ禍でお客様との接触を最小限にする観点からも電子書籍化が進みました。
機内の業務プロセスをデジタル化
「サステナビリティ・タスクフォース」により、従来は紙に記載頂いていたお客様からのフィードバックなどは、Emailや当社ウェブサイトより提出いただけるように変更し、紙のコメントフォームを廃止しました。また、紙に印刷して機内に搭載していた、お客様の機内食などのリクエストが記載されているオンボード・サービス・リスト(Onboard Service Lists:機内サービスリスト)をアプリの導入により印刷をやめ、客室乗務員が機内に搭載している端末から情報を確認できるようになりました。地上職員も同様に、ポータルサイトから搭乗者リストやお客様情報にアクセスし、お客様のリクエストやフライトの詳細情報を確認できます。
カーボン・ニュートラル(二酸化炭素の排出実質ゼロ)への取り組み
シンガポール航空グループは、2020 年から航空業界が二酸化炭素排出量の増加に歯止めをかけることを目的とした「国際航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム(CORSIA)*」に参画しています。2021年6月にはシンガポール航空グループをご利用のお客様が二酸化炭素排出の埋め合わせをご自身で行うことができる自主的なカーボン・オフセットプログラムを始動しました。
このプログラムは、オーストラリアに拠点を置く Tasman Environmental Markets (TEM)によって開発されたデジタル・ソリューションを介して行われ、お客様ご自身の旅行で排出した二酸化炭素を即時に計算し、埋め合わせをすることができます。このプログラムを通じたお客様によるご支援は、インドネシアの森林保護や、インドでの再生可能な太陽エネルギー・プロジェクト支援、ネパールの農村地域に住む世帯に向けた煙汚染の少ない料理用コンロの提供に役立てられています。お客様ご自身で二酸化炭素排出を埋め合わせる機会を提供することで、人々や地球に貢献し、またお客様にもカーボン・ニュートラルの取り組みにご協力いただくための一つのきっかけや手段になると考えています。
Civil Aviation Organisation’s Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation
シンガポール航空グループの男性社員(シンガポール本社勤務)の育児休業取得率は約45%
Story #31でシンガポール出身の東日本地区・中部地区 支配人 タイ・リウェイさんが「シンガポールではジェンダーによる格差があるようには感じません」と話をしていたように、シンガポール航空グループの男女雇用比率は1:1の割合*であり、それは育児休暇の取得状況にもあらわれています。
シンガポール航空グループが発表した「Sustainability Report FY2020/21」は、同グループのシンガポール本社勤務の従業員の育児休業取得の状況について報告されています。育児休業の取得が可能な従業員が2020年度は全体で5,157名のうち、取得した従業員は男女合わせて2,370名でした。そのうち男性職員はおよそ45%にあたる1,295名が育児休業を取得しました。また、注目すべき点として育児休暇を取得したおよそ74%の女性従業員が仕事に復帰しています。
シンガポール政府は男性の育児休業の取得を推奨しており、このようにシンガポール航空の男性従業員の多くが育児休暇を取得しています。
退役した飛行機の部品が新しい価値を産む?!アップサイクリングプロジェクト
シンガポール航空は、環境への負担を最小限にするべく、5つのR(REFUSE, REDUCE, REUSE, REPURPOSE, RECYCLE)をキーワードに活動しています。その内「REPURPOSE(リパーパス:廃棄となりそうな素材に別の目的で素材を活用する)」に紐づく活動で、「The Upcycling Project」と名付けたプロジェクトが 2021年8月に始動しました。退役した機材の一部分や素材をシンガポールを拠点とする企業・団体や一部のグローバル・リテール・ブランドに提供し、より良い品質と環境価値の新しい材料または製品に変換するためのプロジェクトです。
一例として、シンガポール航空とシンガポール工科・デザイン大学(SUTD)がコンテストを共催。シンガポール航空の退役した機材で不要になった部品や素材を同大学に提供し、アートやデザインコースの教材として活用しています。また2019年度には、客室乗務員の制服であるサロンケバヤの未使用の生地をノートの表紙にアップサイクルという取り組みも行い、当社のフラッグシップストア「クリスショップ(KrisShop)」で販売を行いました。
未来の社会への投資は子供の教育が大切 ― 日本支社の取り組み
シンガポール航空の日本地区でも地域社会に貢献すべく持続可能な取り組みを実施しています。シンガポール航空では特に未来の社会に投資すること、とりわけ将来リーダーとなる子供の教育は大変重要だと考えています。
その考え方を基盤に、シンガポール航空が名古屋就航30周年を迎えた2019年10月、地元の小学生29人を中部国際空港へ招き、「小学生社会見学会」を開催しました。子供たちに新しい経験をしてもらう機会を設け、将来、世界で活躍して欲しいという想いで、最新機材ボーイング 787-10の機内見学や、客室乗務員の指導のもと英語を含む機内アナウンスを体験、ビジネスクラスの試食で洋食の食事の仕方や名刺交換などのビジネスマナー教室を開催しました。
また同年の11月には、名古屋市およびシンガポール両都市の教員を繋ぎ、情報・意見交換の場を提供することで両都市の教育レベル向上に貢献することを目的に名古屋市教育委員会との共催で教員フォーラムを実施しました。名古屋市の小学校・中学校・高等学校教員約50名とシンガポールの中学校・高等学校教員6名に加え、シンガポールから2名のゲストスピーカーが参加し、約60名が集まり両都市の教員は互いの教育における貴重な学びを得ることができました。今後も業界をリードするグローバル・エアラインとして、子供の教育面からも地域社会に貢献して参ります。
いかがでしたでしょうか?
次回は、「シンガポール航空の顔~乗務員編~」についてご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!