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2021年2月10日

ベトナム:2020年にアセアン唯一のプラス成長を達成 ~1人当たりGDPがフィリピン超えか~

大きく変化するアジア。人口増加の著しいこの地域が近い将来、巨大市場となり世界経済をけん引する日が来る――。その地殻変動を探るべく、旬のニュースとそれを裏付けるデータで、経済成長著しいASEAN諸国の「今」を読み解いていきます。

 ベトナムの2020年GDP成長率が3%に迫り、アセアン域内で唯一のプラス成長を遂げた。これにより1人当たりGDPがフィリピンを抜き去り、アセアン6位に躍り出る見通しだ。
 

 
 2020年のGDP成長率(推定値)は2.91%。コロナ禍で前年の7.02%から大幅に減速したとはいえ、なおプラスの伸びを維持する域内で「一人勝ち」の状態だ。その背景には、コロナ対策が成功裡に進んでいることに加え、中国からの生産シフトが加速する中で輸出が堅調に伸びていることがある。これにより、貿易黒字が2年連続で過去最高を更新した。記事の引用部分が長くなるが、その様子を亜州リサーチのニュースで改めて確認しておく。
 

ベトナム:2020年の貿易黒字191億ドル、2年連続で最高更新

 ベトナム統計総局が12月27日に発表した2020年の貿易統計(12月は推計値)によると、輸出額は前年比6.5%増の2,814億7,100万ドル、輸入額は3.6%増の2,624億700万ドルとなり、190億6,400万ドルの貿易黒字だった。黒字額は過去最高だった前年の約1.9倍。中国から電子部品などの生産移転が進むなか、対米貿易で627億ドルの大幅黒字となったことが大きい。
 
 品目別にみると、最大の電話・電話部品は1.0%減の508億8,000万ドル。韓国サムスン電子がスマートフォンの世界生産の約半分をベトナムに集約しており輸出規模が大きい。輸出2位は電気・電子製品で24.4%増の446億6,800万ドル、3位は繊維・縫製品で10.2%増の294億7,800万ドルだった。輸出先をみると、米国が24.5%増の764億ドルでトップ。これに中国が17.1%増の485億ドル、欧州連合(EU)が2.7%減の348億ドルで続いた。
 
 輸入トップは電子製品・部品で24.6%増の639億7,300万ドル。2位の機械は1.7%増の373億5,300万ドル、3位の電話・電話部品は13.3%増の165億6,500万ドルだった。輸入元をみると、中国が11.2%増の839億ドルでトップ。これに韓国が1.5%減の463億ドル、東南アジア諸国連合(ASEAN)が6.9%減の300億ドルで続いた。米国からの輸入は4.9%減の137億ドルだった。
 
 12月の輸出額(推計値)は前年同月比17.6%増の265億ドル、輸入額(同)は22.7%増の275億ドルで、収支は10億ドルの赤字だった。
 
 なお対ベトナム貿易で大幅赤字となっている米国は12月半ば、ベトナムを「為替操作国」に認定したと発表。貿易で有利になるよう意図的に通貨を切り下げていると主張している。一方でベトナム中央銀行はこれに反論。同国の金融政策は、貿易黒字を拡大するためではなく、インフレの抑制とマクロ経済の安定化のみを目的にしていると説明した。[亜州ビジネスASEAN 2020年12月28日付ニュース]
 


 
 ベトナム経済の長期動向に対しても、かなり強気の見方が出始めている。英国の有力シンクタンクは14年後(2035年)のGDPランキングを予測し、ベトナムが台湾やタイを抜いて世界17位に躍進するとの見通しを示した。

 

ベトナム:経済規模、35年に世界19位に=英シンクタンク

 英シンクタンクの経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)は、ベトナムが2035年に世界19位の経済大国に成長すると予想している。国内総生産(GDP)は向こう15年で5倍の1兆5,900億ドルとなり、20年の世界37位から順位が急上昇。35年に台湾(21位)やタイ(25位)を上回るとみている。ハノイタイムズが伝えた。
 
 CEBRは、ベトナム経済が2021~2025年に年平均7%、その後35年まで同6.6%で成長すると予想。35年には経済規模が東南アジアではインドネシア(世界8位)に次ぐ大きさになるとみている。
 
 ベトナムの20年のGDP成長率は2.91%。新型コロナウイルス流行で多くの国がマイナスとなる中、世界の中でも高い成長を誇った。政府は21年の成長率目標を、国会が承認した6%よりも高い6.5%に設定している。[亜州ビジネスASEAN 2021年1月10日付ニュース]
 


 
こうした中で今年(2021年)は、昨年を大幅に上回る経済成長が期待される状態。前掲のニュースで触れたように、ベトナム政府は6.5%の目標を掲げている。また、世界銀行も6.7%と高い伸びを予想した。いずれにしても、文字通りのV字回復が見込まれている。
 
ベトナムは今後しばらくの間、アセアンの急成長エリアとして世界の注目を集めそうだ。
 

 

(亜州リサーチASEAN編集部)
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