シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPリモートワークでも深くつながれる1on1

危うし!日系企業の常識・非常識

2020年7月1日

リモートワークでも深くつながれる1on1

 新型コロナウイルスの影響で、WFH(ワークフロームホーム:在宅勤務)を余儀なくされた会社も多く、改めて働き方を見直す機会になった人も多いのではないでしょうか?WFHの規制が一旦解かれたとしても、新型コロナの影響がしばらく続くことを想定すると、WFHでも、快適かつ、生産的に仕事ができる状態を作っておくことは、会社にとっても、個人にとっても重要なテーマだと思います。
 

在宅勤務で生じるコミュニケーション問題

 一方、WFHになって、よく聞かれるのが、
 
 ●コミュニケーションが取りにくい
 ●オフィスだと顔色や様子で判断できる、社員の調子がわかりにくい
 ●WFHだと、部下からは相談がしづらい
 ●社員のモチベーションが把握しづらい
 ●子育てなど、家庭での状態が仕事のパフォーマンスに影響しており、困っている

  
 などの、コミュニケーションやモチベーションについての問題です。
 
 コミュニケーションをメールで頻繁に取ることは難しいと思いますので、できる限り社内SNSなど、よりリアルタイムに簡易に連絡が取れる手段を準備しておくことが重要だと思いますし、ビデオ会議でリアルに顔色や表情を確認しながらのコミュニケーションも重要だと思います。
 

今こそ取り入れたい「1on1ミーティング」

 ただ、業務のためのビデオ会議だけでは、なかなか雑談もできませんし、相手のプライベートなどの話をするタイミングがないでしょう。そんな時こそ、コミュニケーションの質を高めるのにお勧めなのが、1on1ミーティングです。
 
 これは、上司と部下の1対1の面談のことですが、この中では基本的に、上司のための業務進捗確認などは行いません。この面談は、部下が話したいテーマについて話す時間であり、上司は基本的に聞き役になります。
 
 今のような新型コロナの影響で、在宅勤務しているような時であれば、
 
 ●お子さんの自宅でのオンライン学習の支援と仕事の両立は大丈夫か
 ●自宅でのリモートワークで、仕事に集中できる環境かどうか

 
 などのテーマもいいと思います。いずれにしても、部下の困っていることや、相談したいことを話すのが重要です。
 

部下の本音を引き出すために必要なこと

 しかし、いきなり「今週から1on1ミーティングをやります。内容は部下が話したい内容で!」と言われても、「別に上司と話したい内容なんてない…」と言われるのが関の山でしょう。それは、上司が上から目線で部下を見ていることを部下が察していて、本音を話す関係性ができていなかったり、なんでも話しても大丈夫と思う「心理的安全性」がないからです。
 
 「部下が本音を話してくれない!」と思った時は、上司から、腹を割って本音を話さないと部下から本音を話すことはあり得ません。
 
 「実は俺も、在宅勤務になって、パートナーとこんな問題が出てきて、困っているんだけど…」などと、上司も一人の対等な人間として部下に向き合い、弱い部分もさらけ出す勇気を持つことが大事です。面白いことに、「上の人であっても、弱さをさらけ出す人ほど、正直で逆に真の強さを感じ取れて、人間的魅力を感じることも多い」のですが、逆に、「弱みを一切見せず、強気に話している上司、強い上司を演じている上司」を見て、部下は、「強がっている寂しさなどをじわっと感じ、距離感も感じる」ものです。
 
 
 ぜひ、これを機に、定期的に、1週間に1回か、2週間に1回ずつでも、30分ずつ1on1ミーティングを導入してみてはいかがでしょうか?
 
 上司と部下の信頼関係が高まることが、仕事の生産性に大いに影響することは、世界中の実践と研究結果で立証されています。忙しくて時間がないと言っている上司の方にこそ、1on1はおすすめです。
 


森田 英一(もりた えいいち)
beyond global グループ President & CEO

大阪大学大学院卒業後、外資系経営コンサルティング会社アクセンチュアにて人・組織のコンサルティングに従事。その後シェイク社、beyond global社を創業。日系企業のグローバル化支援事業を手掛ける。社員の主体性やリーダーシップを引き出す管理職研修や組織開発ファシリテーションに定評がある。日本全国6万人の人事キーパーソンが選ぶ「HRアワード2013」(主催:日本の人事部 後援:厚生労働省)の教育・研修部門で最優秀賞受賞。主な著作「一流になれるリーダー術」(明日香出版)「会社を変える組織開発」(PHP新書)など。日経スペシャル「ガイアの夜明け」「とくダネ!」などメディア出演多数。シンガポール在住。シンガポール在住。
人と組織の可能性を拓く beyond global グループ(シンガポール・タイ・日本)
グローバルリーダーシップ研究所
Email: info@beyond-g.com

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPリモートワークでも深くつながれる1on1