シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPアフターコロナ、ウィズコロナのビジネス環境

危うし!日系企業の常識・非常識

2020年6月1日

アフターコロナ、ウィズコロナのビジネス環境

 新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、ワークスタイルの変革が強制的に行われています。今回は、コロナが鎮静化した後の「アフターコロナ」、もしくは、コロナの影響が長期化し、コロナと共生していかないといけない「ウィズコロナ」の時代に起こるであろうワークスタイルの変化について整理したいと思います。
 

在宅勤務への許容度

 今回、望むか望まないに関わらず、強制的に在宅勤務が実施されたことにより、在宅勤務の良い面、悪い面を、シンガポール全体が体験したという非常に稀な状況になっています。在宅勤務によって、移動時間やメイキャップの時間などが減ったり、集中する時間が増えて生産性が上がったり、家族との絆が強まったりした人も少なからずいます。
 
 在宅勤務の良い面を体験した人や会社・部署は、在宅勤務への許容度が高まっていると思われ、今後、今まで以上に在宅勤務を推奨したり、オフィス自体を無くしてしまう会社も出てくると予想されます。
 

オンライン会議と対面打ち合わせ

 オンライン会議が一般化したことで、移動時間がないメリットや、わざわざ来てもらったからという理由で無駄に時間を伸ばす会議の必要がなくなり、会議の生産性は上がった人が多いのではないでしょうか?特に、国境を越えて移動しての会議は、時間効率が悪すぎます。
 
 アフターコロナでも、オンライン会議で済ませることが可能な会議は、オンラインでできるだけ済ませ、対面で行うものは、最初の人間関係構築を行うためや、実際に現場を見てみる必要があるものなど取捨選択が進むと思われます。
 
 また、これまでも、ネットベンチャーなどでは、対面営業はせずに、オンラインでの営業のみで受注を行う会社がありましたが、そのような営業活動を行う会社も増えてくるでしょう。オンラインで営業が完結し、納品までオンラインで行えると商圏も一気に広がってくるでしょう。
 

成果主義の人事制度

 オフィスに来て、まじめに仕事をしていることを評価基準の1つにしてきた会社は、在宅勤務になって困ってしまい、私たちに人事評価制度の相談をされるようになりました。
 
 在宅勤務になると、勤務時間管理が難しく、成果ベースでの評価がより加速していきますが、その傾向はアフターコロナでも続くと思われます。
 

上司と部下の1 on 1ミーティング

 在宅勤務になると、特に関係が希薄だったり、あまり関係がよくなかった上司と部下のコミュニケーションは悪くなる傾向があります。それを回避するために、上司と部下が、部下が話したいトピックをざっくばらんに話す1 on 1ミーティングの導入が進んできています。話す内容としては、最近の業務のこと、仕事上で困っていることなどの他、本人のキャリアの相談、職場の人間関係、プライベートな相談など、部下が話したいことに焦点を当てて話をして、それを部下と上司の関係の質の向上と、部下の成長につなげていく試みが今後も続いていくと思われます。
 

リモート社員の活用

 在宅勤務が一般的になってくると、オフィスの近くに居住している人だけではなく、世界中から働くことが可能になってきます。実際、オフィスへ出社せずに勤務するリモート社員を募集することで、これまでは採用できなかった優秀な社員を、しかも比較的リーズナブルな給与で採用できた例もあります。このようなリモートで働く業務委託契約的な社員が今後増えてくる可能性は大いにあります。
 


森田 英一(もりた えいいち)
beyond global グループ President & CEO

大阪大学大学院卒業後、外資系経営コンサルティング会社アクセンチュアにて人・組織のコンサルティングに従事。その後シェイク社、beyond global社を創業。日系企業のグローバル化支援事業を手掛ける。社員の主体性やリーダーシップを引き出す管理職研修や組織開発ファシリテーションに定評がある。日本全国6万人の人事キーパーソンが選ぶ「HRアワード2013」(主催:日本の人事部 後援:厚生労働省)の教育・研修部門で最優秀賞受賞。主な著作「一流になれるリーダー術」(明日香出版)「会社を変える組織開発」(PHP新書)など。日経スペシャル「ガイアの夜明け」「とくダネ!」などメディア出演多数。シンガポール在住。シンガポール在住。
人と組織の可能性を拓く beyond global グループ(シンガポール・タイ・日本)
グローバルリーダーシップ研究所
Email: info@beyond-g.com

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPアフターコロナ、ウィズコロナのビジネス環境