Q.年金を繰り上げてもらうと、いくら減額されるの？

Q.私は、渡星して10年近くになる者です。今年57歳(男)になりますが、持病もあり、早めに年金をもらいたいと思っています。そこで質問ですが、本来65歳からもらえる年金を5年早めて60歳からもらった場合、いくら減額されるのでしょうか。また、一度減額された年金は戻せないのでしょうか。厚生年金には、約20年加入していました。(Hさん)

　A. Hさんの場合、通常は老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに65歳からの受給となりますが、受給開始のタイミングを早めることもできます。年金を本来の受給開始時期よりも早くもらうことを『繰り上げ』といい、減額率は、老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに、1ヵ月繰り上げるごとに0.5%の減額となります。そのため、Hさんが5年繰り上げて60歳から受給する場合は、12ヵ月×5年×0.5%=30%がそれぞれで減額されることになります。なお、一度減額された年金額は、65歳になっても元に戻りません。つまり、30%減額された年金額は一生涯変わらないので注意してください。また、『繰り上げ』後は、障害年金を受けることができないなどのデメリットもあるので、繰り上げての受給を決める前にデメリットも含めて十分確認、検討する必要があります。
 
　ちなみに、机上の『損得』の話になりますが、繰り上げて60歳から年金を受給する場合は、「76歳8ヵ月」よりも長生きすると、65歳から受け取った場合よりもトータルの受給額で損をする計算になります。いずれにしても、一度年金事務所でご自身の年金記録を確認・相談の上、判断されることをおすすめします。
 

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このコラムの回答者

武澤 健太郎
社会保険労務士法人
大槻経営労務管理事務所