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2020年1月9日

アセアンのLNG需要急増:ビジネスチャンス拡大で日本企業も参入

第4回 ニュースとデータで読み解く アセアン業界動向

 大きく変化するアジア。人口増加の著しいこの地域が近い将来、巨大市場となり世界経済をけん引する日が来る――。その地殻変動を探るべく、旬のニュースとそれを裏付けるデータで、経済成長著しいASEAN諸国の「今」を読み解いていきます。
 

アセアンのLNG需要急増

 経済成長に伴う電力需要の伸びを受けて、アセアン各国が液化天然ガス(LNG)の調達・確保に邁進している。天然ガスの生産国だったベトナムとフィリピンは、両国で初となるLNG受け入れ基地の建設に着手した。これをビジネスの好機ととらえた日本企業も、ここに来て現地LNG事業への投資・参入を本格化させ始めている。以下、一連の動きをまとめてみたい。
 
 
 まず、LNG需要が右肩上がりで拡大していく様子を確認しておく。日本エネルギー経済研究所がまとめた「LNG市場の柔軟性向上に向けた課題及び対応策に関する調査等報告書(2019年2月)」によると、アセアンを含むアジア全体の総需要は、17年の2.16億トンから20年に2.5憶トン、25年に3億トン超、30年には3.6億トン超まで膨らむ見通しだ(図1)。

 


 アセアン(東南アジア)に関しては、冒頭で述べたように発電向けのLNGが需要を底上げする構図。実際、電源別の発電量を見れば、ベトナムとフィリピンで天然ガスの比率が2割を超えていることが分かる(図2)。

 

 次に、日本企業によるベトナム、フィリピンへの進出について、弊社「亜州ビジネスASEAN」ニュースを引用しつつ、2019年の目立った動きを追ってみたい。
 

JXTG、ペトロリメックスとLNG事業で協業へ

 石油元売りで日本国内最大手のJXTGエネルギーは、ベトナム石油小売最大手ペトロリメックス総公社と、同国での液化天然ガス(LNG)事業の共同展開を検討する。JXTGは2016年からペトロリメックスに8%出資し…(中略)…ベトナム電力グループ(EVN)が建設するガス火力発電所にLNGを供給する目的で開発。第1期では総出力3000メガワット(MW)の発電所が建設され、ペトロリメックスは貯蔵能力18万立方メートルのLNG貯蔵施設などを設ける。(7月2日付記事)
 

発電JERAがEVNと覚書、LNG事業で提携へ

 東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資する発電会社JERAは10月18日、ベトナム電力グループ(EVN)と液化天然ガス(LNG)事業に関する覚書(MOU)を締結した。LNGの共同調達など両社の連携に向けて協議を進める。…(中略)…ベトナムでは堅調な電力需要の伸びや、国内資源の減少に伴い、発電燃料へのLNG導入が見込まれている。EVNは、傘下企業と合わせて同国の発電容量の約6割を保有。今後の電力需要の増加に伴い、独自のLNG調達を目指している。(10月21日付記事)
 

FGENと東ガスのLNG基地、起工式を開催

 発電大手ファースト・ジェン(FGEN)は5月28日、ルソン島のバタンガス州で東京ガスと共同開発する液化天然ガス(LNG)受入基地の起工式を同日に行ったと発表した。…(中略)…FGENによると、天然ガスの供給能力は年300万~500万トンとし、投資額は10億米ドルを超える見通し。…(後略)…(5月29日付記事)
 
 
 日本企業の現地進出は、エネルギー安全保障の観点からも重要といえる。日本が現在、世界最大のLNG輸入国だからだ。この分野では特にwin-winの関係を築く必要があろう。

(亜州IRアセアン編集部)

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