2018年9月27日
日系企業のシンガポール進出・撤退の現在
日系企業のシンガポール事業に関しては、新規進出や事業規模拡大を発表する企業がある一方で、周辺国への移転あるいは撤退のニュースも聞かれます。政府による税制や法規制などを通じた外資企業の積極的な誘致姿勢、人材確保の容易さ、そして東南アジアのハブとしてのインフラ設備など、シンガポールの優位性とともに、近年は人件費の上昇、不動産価格の高騰、EP厳格化など外国人の就労制限といった課題もクローズアップされています。こうした中で、日系企業の進出・撤退動向はどう変化しているのでしょうか。今回は法律、会計、不動産の4人の専門家に、それぞれの立場から日系企業の進出・撤退の現状、進出における注意点、今後の展望などを話していただきました。
Singa Company Services Pte Ltd
Managing Director
高橋 正名 さん
大和証券SMBCにて、未公開企業の株式公開(IPO)支援に携わり、財務 ・ 法務面のコンサルティングを提供。その後グロービスにてコンサルティング営業、チームマネジャー、企業財務や問題解決セッションの講師、中国事業立ち上げに従事。2012年にシンガポールへ移住。2014年シンガポール国立大学MBA修了後、シンガポール人会計士と共に、会計・財務・セクレタリーサービスを提供するシンガ・カンパニー・サービスを創業。専門は中小企業経営、企業財務、シンガポール会計・税務。「クライアントの事業成功を支える」ことを標榜し日々奮闘中。
弁護士法人One Asia
パートナー弁護士
森 和孝 さん
2010年より国際法務を主要業務とする日本国内の法律事務所にて執務し、17年よりグローバルローファームEvershedsのシンガポールオフィスに常駐、18年より現職。クロスボーダーM&Aやアジア進出・展開・統括に関するリーガルサービスを提供している。近年は、フィンテック等最先端ビジネス関連のアドバイザリー業務の比重が増えており、とりわけアジアにおける仮想通貨関連の依頼が多く、仮想通貨取引所の設立や多数のICO案件の取扱実績を有する。日系企業のみならずグローバル企業へのアドバイスも行っている。
Starts Singapore Pte Ltd
General Manager
加藤 貴士 さん
新卒でスターツコーポレーション に入社。住宅の売買営業を経験した後、地主や企業、投資家への事業用不動産による節税、収益改善等のコンサルティン グ事業に携わる。2013年に来星し、不動産仲介により日系企業の進出サポートを行う。2015年にGeneral Managerに就任。シンガポールオフィスの運営および進出・在星企業のオフィス・工場・倉庫・店舗等の商業不動産に関する相談を担当している。近年では不動産紹介はもとより、進出・移転に関するプロジェクト管理やマーケットリサーチ、ターゲット設定といったコンサルティング業務も増えてきている。
PHOENIX ACCONTING SINGAPORE PTE. LTD.
ダイレクター 日本公認会計士
日浦 康介さん
2003年に大学卒業。民間企業勤務を経て、2010年に新日本有限責任監査法人に入所し、札幌事務所で金融・小売・建設・電力業等の法定監査業務、IPO支援、IFRS導入支援等に従事。2014年に来星し、Ernst & Young LLPのSingapore事務所に勤務。その後、Phoenix Accounting Singapore Pte Ltdに参画し、シンガポールでの法人設立、会計・税務支援、M&A、その他コンサルティング業務を担当している。「フェニックス・アカウンティング・グループ」は日本の他、マレーシアおよびインドネシアにも事務所を展開しており、アジアでビジネス展開している企業には連携したサービスの提供も行っている。