シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第5回 シンガポールの自動車税

知っておきたい シンガポールの税制度

2017年4月25日

第5回 シンガポールの自動車税

ちなみに2016年にシンガポールで最も売れたメーカーはホンダで、次いでトヨタ、マツダ、日産と、販売台数では日本車が圧倒的な人気を誇っています。ただ、COEの割当数が激減した2011年から2013年の3年間は、苦戦する日本車ディーラーを尻目にメルセデス・ベンツやB.M.W.は全くその影響を受けず、メーカー別年間販売台数で1位と2位になりました。さすが、富裕層に人気が高い車だけあります。一方、現代や起亜などの韓国車は、低価格車として一時人気を呼びましたが、COEが高騰してからは価格の魅力が薄れたのか、以前ほどの勢いはないようです。

 

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自動車を登録すると、道路税の納付が必要になります。道路税は、半年または1年毎の前納制で、金額はエンジンの種類と排気量別に定められており、排気量が多くなるほど高くなります。例えば、前述の例に挙げた排気量1,600ccのガソリン車の場合、道路税は年間でS$744になります。ディーゼル車には道路税の他に特別税が課せられますが、今年度予算案では、ディーゼル車の利用を抑制するため、新たにディーゼル燃料1リットルにつきS$0.10の税金が課せられることになりました。それに伴い、特別税は乗用車の場合で年間S$100が減額されることになりました。

 

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今年度予算案では、2019年から炭素税が導入されることも発表されましたが、自動車に関しては、2013年1月1日から二酸化炭素の排出量によってARFに加算または減額する炭素排出基準自動車制度(CEVS)が適用されています。2015年7月1日から2017年12月31日までに登録された乗用車の場合、A1からC4の評価によりS$5,000~S$30,000が加算または減額されます(最低S$5,000のARFを納付)。なお、2018年1月1日以後に登録される自動車は、二酸化炭素だけでなく一酸化炭素、炭化水素、酸化窒素、粒子状物質の5つの物質の排出量に基づいて評価する自動車排出ガス制度(VES)が適用され、乗用車の場合、A1からC2の評価によりS$10,000かS$20,000がARFに加算または減額されます。

web315_shiba_new著者プロフィール   斯波 澄子(しば すみこ)
1995年よりシンガポール在住。PriceWaterhouseCoopersを経て、2007年よりシンガポール最大手の法人秘書業務会社Tricor Singapore Pte Ltdにて日系企業の会社設立、会計、税務、秘書業務などに携わる。クライアントが何でも気軽に相談できる会社のジェネラル・ドクターになることを目指している。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.321(2017年5月1日発行)」に掲載されたものです。

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