シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第4回 シンガポールの扶養控除

知っておきたい シンガポールの税制度

2017年4月5日

第4回 シンガポールの扶養控除

今回は、シンガポールの個人所得税、中でも扶養控除について見ていきましょう。昨年日本では、女性の労働参加を促そうと配偶者控除の見直しが議論され、パートタイムで働く主婦が年収を103万円以下に抑えようとする「103万円の壁」が150万円に引き上げられ、大きな話題となりました。シンガポールでは、女性はどのような働き方をしているのでしょうか。

 

以下の図は、シンガポール国籍または永住権の女性の労働人口について、年齢別にフルタイム、パートタイム、失業者、無職(求職していない)に分けて表にしたものです。就業者の大半はフルタイムで働いており、無職の女性は年齢とともに増えるものの、50歳未満ではその割合はかなり少ないことがわかります。同じくシンガポール国籍または永住権の被雇用者について男女別の月額所得を示した表を見ると、S$1,000未満では女性の割合が多いものの、ほとんどの所得層で男女にあまり差がありません。シンガポールでは、夫婦の一方の収入だけで家計を賄うのがなかなか厳しいといった事情や、家族や家政婦による家事・育児の支援を得やすい環境などにより、結婚や出産後も女性がフルタイムで働き続けるのはごく一般的なことと捉えられています。

 

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配偶者控除もそのような事情を反映し、日本のように手厚くありません。シンガポールの配偶者控除は、配偶者の年間所得がS$4,000以下である場合、S$2,000の所得控除が認められます。年間S$4,000の所得というと、パートタイムで少し働いただけでも容易に越えてしまう金額ですし、仮に配偶者控除を得られたとしてもS$2,000と大した金額ではないため、日本のように配偶者控除を得るために年収を抑えるといった働き方はシンガポールでは見られません。逆にシンガポールでは、女性が働いた方がより多くの所得控除を得られるようになっています。例えば、結婚後も女性が仕事を続けやすいように、既婚女性や夫と離婚・死別して子供を扶養する母親が住み込みの外国人家政婦を雇って働いている場合、納付した家政婦の外国人労働者税(最高で月額S$265 x 12ヵ月)の2倍の金額を所得から控除できる制度があります。この制度は、結婚して子供がいない女性や子供がシンガポール国籍でない母親にも認められます。

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