2017年2月20日
シンガポールの漢方薬(中薬)市場
症状によって違う、適切な漢方薬
症状は同じでも原因やその人の性別・年齢などによって最適な漢方薬はさまざま。専門の薬局に相談することは大事だ。日本とは気候も異なるシンガポールで悩みがちな症状と、それに効く漢方薬および注意点について紹介したい。
<胃炎>
●一般の人には…平胃片
胃の働きや水分の停滞を改善する効果があり、消化不良による胃もたれや下痢などに有効。体力が一般的な人を中心に広く使われている。
●高齢者や慢性症状の人には…六君子片
胃腸が弱っている状態や、食欲がないとき、吐き気のあるときなどに効果があるとされる。体力の低い高齢者らの使用にも適している。
<便秘・下痢>
●男女ともに有効…丹栀逍遥片
日本では「加味逍遙散」と呼ばれる。気分の落ち込みや冷え性、虚弱などにも効果があり、体が弱く疲れやすい人に向いている。
●腸の動きが悪いとき、症状が重いときは…潤腸片
便を柔らかくし、便通を良くする。体が弱い人や高齢者にも適している。
●お腹が張るときは…防風通聖散
体の熱を冷まし、水分の循環を良くする。便秘のほかむくみを改善する効果もある。体力のある人向けの薬なので、体の弱い人や胃腸の調子が悪い人は注意が必要。
<疲労>
●胃が弱っているときは…補中益気湯
胃腸の働きを改善し、体力回復を助ける効果があり、代表的な漢方薬のひとつ。体が疲れやすいときや食欲がないとき、風邪のときなど、体力が低下しているときに有効。
●肉体疲労には…六味地黄丸
疲労やめまい、耳鳴り、多尿、寝汗などの症状に有効。子供や高齢者を含め、体のほてりなど水分が不足している人に向いている。
●寒気がするときは…腎気地黄丸
エネルギーをつくる力を高め、体を温める効果があり、体の冷えが気になる人に向いている。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.318(2017年2月20日発行)」に掲載されたものです。
取材・写真=佐伯 英良