シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP新しいメディアへの挑戦、両極が存在する自分のありのままを作品に

来星記念インタビュー

2016年10月17日

新しいメディアへの挑戦、両極が存在する自分のありのままを作品に

―普段大竹さんが心がけていることは?

行き着くところは、自分に嘘をつかないこと、つまり正直であること。例えば蛍光色、モノクロームが同時進行で出てきて、これを両方発表するとまた一貫性がない、と言われそうだけど、正直に出てきたものこそが大事な何かなんです。整合性のないものが出てきたからといって理屈で捻じ曲げたり、整合性を取ろうとしたりはせずに、自分にとってこちらが正直だと思う方にいくようにしています。

 

―シンガポールの印象を教えてください。

25年ぶりくらいのシンガポールですが、印象が全然違う。当時は鳥かごを持った人とすれ違いながら、随分と古い街並みをウロウロした思い出がある。すごく大きく変化しましたね。クリーンになりすぎかな、もう少し汚くてもいいくらい(笑)。
第二次世界大戦末期の昭和17年ごろ、軍部報道映画班として映画監督の小津安二郎がシンガポールに赴任していました。小津のもとで助監督を務めたこともある作家の高橋治が、その頃の小津の暮らしを描いた「幻のシンガポール」という面白い短編があって、STPIに来ることになってもう一度読み直しました。小津も体験していた気候、吸っていた空気、見ていた月だと思うと、シンガポールを見る目がまた変わって感慨深いです。

 

―海外で暮らすビジネスパーソンへのメッセージをお願いします。

「ストリートに飛び出せ」。日本人はつい日本人同士で集いがちだけど、なるべく現地の人と交わる機会をもって、その国のことや音、匂いなどを肌で感じるべきだと思います。

 

展覧会詳細情報

STPI Creative Workshop & Gallery
http://www.stpi.com.sg

312web_mrohtake_portrait_img_0760大竹 伸朗 (おおたけ しんろう)

1955年生まれ。1980年代初頭より国内外で作品発表を開始。近年は、第8回光州ビエンナーレ(韓国、2010)、ドクメンタ(13)(ドイツ、2012)、第55回ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア、2013)などの国際展に参加。宇和島にスタジオを構え、瀬戸内国際芸術祭にも多数作品を出展、今でも直島に家プロジェクト「はいしゃ」、直島銭湯「I♥湯」があり、今年は豊島に「針工場」を発表。いわゆるアートの枠にとらわれず、音楽、ファッション、出版などその活躍の幅は広い。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.312(2016年10月17日発行)」に掲載されたものです。(取材・写真:桑島 千春)

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