2011年3月7日
今、経営者に求められるものとは?
先月号で『リーダーの説明責任』というテーマで、リーダーの思いを伝える「伝達力」についてお話しをしました。今月は、もう少し掘り下げてみたいと思います。
企業の不祥事が耐えない中、今の時代に求められる経営者は「賢慮型経営者」であるという記事が掲載されていました。
内容としては
- 第一に「善悪の判断を適切に行える力」(実践的理性能力)
- 第二に「人を共感させる力」(他者と文脈を共有し場や共通感覚を醸成させる能力)
- 第三に「本質の洞察力」(複雑な事象を直感的に理解する状況認知能力)
- 第四に「他者への伝達能力」(ミクロの直感を概念化・具象化しマクロ的ビジョンやテーマと関係付けて説得する能力)
- 第五に「人を動かす能力」(「善」の基準に従い概念を現実化するように人の力を結集する能力)
- 第六に「人を育てる能力」(賢慮そのものを配分・育成する能力)
というものです。
賢慮とは、実践的な価値合理性を基礎とし、個々の異なるコンテクスト(脈絡)においてどのように行動するかを判断することや、常識や経験や直感の知を志向する実践的知恵(高質の暗黙知)といったものを包含した概念のことを言います。
大学教授の書く文章は妙に小難しくて分かりづらいですが、この手の物事は文章の表現の仕方こそ違えど、言っていることはそんなに変わらず、経営者がどうあるべきかは原理原則に従うことのような気がします。
原理原則を一言で例えるのであれば、質のいい種を蒔けば質のいい花が咲き、質の悪い種を蒔けば質の悪い花が咲くということです。
要するに、質のいい経営をすれば会社は発展し、質の悪い経営をすればいずれ滅びるということではないでしょうか。
“経営塾”開催のお知らせ
シンガポールで日本人企業家同士が集まって、ビジネスを中心とした情報交換をしたり、学びあったりする交流の場として、「経営者の塾であり、経営者を育てる塾」というコンセプトで“経営塾”をアジアエックスとリーダーズアカデミーの共催で毎月開催しています。
ご興味のある方はぜひ見学にいらしてください。
文=嶋津良智(しまづよしのり)
株式会社リーダーズアカデミー代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.184(2011年03月07日発行)」に掲載されたものです。