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嶋津良智の「リーダーにつける薬」

2011年4月4日

約束

先日ある部下が、自分で指定した期日を守らずに、会った当日になって急に約束したことが出来ていない旨を報告してきました。今回のことは正直たいしたことではなかったので特に問題はなかったのですが、これが重要な物事だったら非常に困ったことになっていました。

 

 

もちろん、重要なことであれば本人の責任感も変わっていたのかもしれません。しかし、今後のことを考えて本人とよく話し合って次のことを指示しました。

  • できないことはできないとはっきり言う
  • 期日は自分のできる範囲の最短で設定をする。その際保険を掛けて日程に余裕を持たせない
  • 仕事は常に前倒しを心掛け、最悪でも前日に終わるような計画で進める
  • どうしても、約束の当日まで持ち越してしまうものは、当日実際にやって何がおきるか分からないので、絶対に約束の時間に間に合わせる自信のある仕事しか持ち越さない
  • もし、最悪納期に間に合わないことが予測された場合、その時点ですぐに連絡をすること。そして、いつまでだったら間に合うのか、次回納期を報告すること。それにより、「打ち手」が考えられる

 

以前経営していた会社で、これに似た非常に困った部下がいました。「はい」「分かりました」といった、返事をしたにもかかわらず、約束の期日に遅れたり、お願いをした仕事をやっていなかったりするのです。周りの仕事へも大きな影響が出ていたため、その彼には「約束」を守ることに対する得るものの大きさ、逆に約束を破ることによる失うものの大きさを話しました。

 

 

約束を守ると信頼が得られ、信頼が得られると協力者が増え、応援をしてもらえるようになり、仕事を任せたくなり、頼みたくなる。そして、仕事が集まり、たくさん仕事をこなすと能力が上がり、自信が沸きます。逆に、約束を破ると「信頼」を失い、物事によってはそのことがたくさんの人や会社の経営に影響を及ぼし、人や仕事が集まってこなくなり、自信を失うということを伝えました。

 

 

私は人間の基本的な約束は「時間を守る」ということだと思っています。平気で時間を守らない人も良く見受けますが、1日24時間という時間は有限なので、時間はもっとも貴重な資産です。この使い方一つで人生や仕事・経営の成果が変わってくる大切なものです。人を待たせるということは、その人の資産を食い潰している非常に迷惑なことなのです。

 

 

もちろん、生身の人間ですから完璧を望むものではありませんが、時間という人の資産を増やすことはしても、減らさないようなお付き合いを心がけたいものですね。

文=嶋津良智(しまづよしのり)


株式会社リーダーズアカデミー
代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.186(2011年04月04日発行)」に掲載されたものです。

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