シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP第3回 シンガポールの優遇税制

知っておきたい シンガポールの税制度

2017年3月6日

第3回 シンガポールの優遇税制

今回は、シンガポール政府の外資導入政策と優遇税制について見ていきたいと思います。シンガポールは、イギリス植民地時代にアジアの中継貿易の拠点として栄えましたが、第二次世界大戦後に周辺諸国が独立し直接貿易を行うようになると、シンガポールも中継貿易に依存したままではいられず、工業化による雇用創出を迫られるようなりました。そこで、輸出産業の育成を図るべく、ジュロンに工業団地を建設してインフラを整備し、海外からの投資を積極的に呼び込む政策を打ち出しました。

 

優遇税制は、これらの政策の中で重要な役割を担い、1959年にはパイオニア産業令および産業拡張令が制定され、1967年には経済拡大奨励法となって拡充されました。パイオニア産業というのは、シンガポールでまだ十分に商業化されておらず、シンガポールに経済的価値をもたらすと認定された製品を製造する会社に対して、最長15年にわたり法人税を免税にするという制度です。更に、パイオニア産業の適用期間が終了したりパイオニア産業に認定されなかった会社が、シンガポールに経済的価値をもたらすと認定された製品の生産や増産のために設備投資を行う場合には、開発・拡大制度(DEI)により最長40年にわたり最低で5%の法人税率が適用されます。その他にも様々な優遇措置が法制化され、シンガポールに多くの外資系企業を誘致し、この国の産業を発展させる呼び水となってきました。

 

では、実際に、シンガポールには海外からどの程度の投資がなされているのでしょうか。グラフは、シンガポールで登記された会社の資本(純資産)の合計額と海外からシンガポールへの対内直接投資およびシンガポールから海外への対外直接投資の金額を比較したものです。これを見ると、シンガポールの会社全体の資本のうち、海外からの直接投資は約4割もあることがわかります。しかも、その比率は、1994年の31%から2014年には42%へと約10%も増加しており、シンガポールが現在も海外諸国にとって魅力的な投資先であることが表われています。日本は、アメリカに次いで第2位のシンガポールへの投資国ですが、その比率は年々低下しています。

 

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