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ビジネスインタビュー

2006年1月23日

ベストであるために、今すべきことを確実にやり遂げる。

ジュロンセメント エクゼクティブディレクター リナ・タンさん

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常に進化形であるシンガポールで建設現場を目にすることは日常のこと。みるみるうちに都市の風景が変わり、現代的で最先端の設備を備えた建造物が出来上がることに驚かされることも多い。それは上物だけではなく都市の構造を支える目に見えない地下鉄や、上下水施設などにも及ぶ。それらの強く耐久性のある建造物をささえるのに必要な原料であるセメントやコンクリートを30年以上に亘りシンガポールで供給している企業がある。それが今回ご紹介するジュロンセメントである。

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写真向って左より:グループ・テクニカル・オペレーションズ・アドバイザー中野氏、エグゼクティブディレクターリナ氏、テクニカル・セールスマネージャー池上氏

ジュロンセメントのエグゼクティブディレクターのリナさんは、祖父の代から引き継いで三代目の経営者としてグループを統括する。大学院を卒業した後、アメリカで10年間銀行に勤めていた才媛であり、帰国後からこれまでの11年間、ジュロンセメントの経営に携わっている。4人姉弟の長女として家業に戻った、と微笑む温厚な表情の中に経営者としての落ち着きと眼光の強さがある。

 

「90年代後半から今日まで、シンガポールは深刻な経済低迷期を経験しており、それによる需要の低下と近隣諸国からの低コストのセメントとの競合に悩まされました。それを社員一同と乗り切れたことは、今後の自信に繋がりました。無論、競合他社との価格競争はいまだあり、他社との差別化がとても大切です。」とリナ氏は語る。
ジュロンセメントは、シンガポールにて1975年より操業を始め、1979年にはこの業界としては、シンガポール初の上場企業となる。現在は3つのグループ会社から成る。ジュロンセメントバルクターミナル社は、宇部三菱セメント(株)から輸入する日本産のセメントをシンガポール国内で供給してきた。1990年には新日本製鉄(株)より高炉スラグ原料を輸入し、自社粉砕工場にて粉砕混合して高炉セメントの製造を開始、2001年以降は高炉スラグ微粉末を輸入しセメントと混合することにより高炉セメントを製造し、製品のラインナップに加えた。高炉セメントは高耐久コンクリートに適したセメントとして当地において需要が多く、ジュロンレディーミックス社を中心に主として国内で供給し、納入実績と技術を蓄積して来た。

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ジュロンセメントは現在、国内で年間約100万トンの取扱能力、中国のプラントでは350万トンもの生産能力を誇る。また、コンクリートコネクション社は、需要の多様化からセメント混合製品であるモルタルやプラスター、床工事用材料、保護・防水材料などを自社ブランドの商品として取り扱うようになった。「セメントに関する供給においてはワンストップソリューションで対応できる企業でありたいと思います。

 

そのためには、どんなプロジェクトにも相応し、安定した品質をもった製品やサービス供給をして行かなければなりません。」と、シンガポールで唯一コンクリートとセメントの試験室を持ち、シンガポール国立大学とも共同研究するほどの品質へのこだわりの所以をリナ氏は説明した。熱帯気候のシンガポールで、湿度や海水に長期にわたり耐えうる品質を作り上げるには、外国での使用例をそのまま適用するわけにはいかないのだ。技術的な支援体制の人材確保にも熱心で、日本人の技術者も常駐している。その製品とサービスにおいての真摯な姿勢が、これまでの大型プロジェクトの受注へ繋がっているに違いない。エスプラネード、MRT、高速道路、チャンギ空港第2、第3ターミナルをはじめ、シンガポール島内の地下を横断する下水道、石油精製基地関連工事など、ジュロンセメントの製品はメジャーな公共事業でも次々と採用されているのがそれを裏付けている。
普段は経営陣の若きトップとして忙しく日々を送るが、週末は、5歳と22カ月になる子供達と充実した時間を過ごせるよう務めているリナ氏。家族のことに話が及ぶと、子供の将来を思う教育熱心な母親の顔が垣間見えた。台湾人のご主人が会社の財務と新規事業開発を預かり、公私共々二人三脚だ。長い時間を一緒に過ごすご主人との良い関係を保つコツをリナ氏に伺うと、「仕事の話を家庭に持ち込まないことですが、実はそんなに簡単なことではありません。」と笑う。仕事もプライベートも充実できるよう、子育てへの貢献も積極的で感謝しています、とご主人への心遣いも忘れずに付け加えた。

Jurong Cement Limited
120, Pulau Damar Laut 618312
TEL:6261-8803
E-mail:jcg@jurongcement.c

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