シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP現在シンガポールで駐在員事務所として活動していますが、近い将来現...

法律相談

2007年7月25日

Q.現在シンガポールで駐在員事務所として活動していますが、近い将来現地法人設立の計画があります。どのような点に留意して準備すればよいでしょうか?

現地法人設立の留意点

駐在員事務所は、シンガポールでの調査・プロモーション活動など限られた目的の活動を行うことが認められる組織形態で、いわゆる会社ではありません。起業初期の段階であったり、活動内容がもともと限られている場合多くこの形態がとられます。単独では販売等の契約を締結することなど目的外の営業活動は制限されるため、活動範囲の拡大に伴い組織変更をする場合が出てきます。最も一般的な会社である株式が非公開形式の株式会社(Private Limited Company)の場合を前提にしますが、設立にあたり考慮・決定しておくべき主な事項は以下です。

 

まず会社の名前の決定ですが、シンガポールでは設立登記をする時点で名前が先に登録されていなければなりません。会社の名前の一部としてPrivate Limitedあるいは(Pte. Ltd.)の語を含めることも必要です。

 

会社の人的要素として、設立発起人が最低一人が必要です。この発起人が株式を引き受けて創立時株主となります。設立時に引き受ける株式は最低1株と1ドルでも差し支えなく後に増資することが出来ます。また会社の役員として取締役が必要です。取締役の人数は一人でも可能です。取締役のうち最低一人はシンガポール居住者でなければならない点は注意が必要です。居住者とはシンガポール国民の他、永住権をもつ外国人やエンプロイメント・パス等所有の長期滞在外国人も含まれます。なお取締役が同時に株主を兼ねることは可能です。

 

会社の定款を定めることも必要です。定款は会社の組織の基本的事項を定めます。Memorandum と Articles of Association (略称M&A)の2種類が必要です。

 

Memorandumは会社の活動目的や権限、Articlesは内部の組織のルールを定めるものです。例えば会社の活動の目的や範囲の制限、第三者への株式譲渡にあたっての制限、取締役の権限の及ぶ範囲、取締役会や株主総会での特殊な議決事項や方法などについて特に定めるべきか検討しここに定めます。なお、法律事務所や会計事務所ではひな型のM&Aを用意していますが、個々の会社によって規定すべき内容は多岐に渡るため、個別に会社に合ったものを吟味し作成すべきです。

 

なお、会社の役員として必ず秘書役(カンパニー・セクレタリー)と監査役が必要となることも留意してください。選任は会社設立と同時でなくても構いません。設立6カ月以内にセクレタリーを任命します。会社の従業員をセクレタリーとして任命することも出来ますが、法律上要求されている文書の作成や維持管理を行うための専門知識を要するので、シンガポールでは会計士や弁護士に業務委託することが多く行われます。監査役は、設立から3カ月以内に資格ある会計士を任命しなければなりません。

なお、会社設立登記申請自体はオンライン申請で、通常1日程度で完了することが可能です。

取材協力=Kelvin Chia Partnership

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.054(2005年07月25日発行)」に掲載されたものです。

本記事はは一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP現在シンガポールで駐在員事務所として活動していますが、近い将来現...