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法律相談

2007年9月3日

Q.会社の書類に“カンパニー・シール”を押すこと、また、公証人(ノータリー・パブリック)のところへ行って公証してもらうように言われました。どう進めればよいのか教えてください。

シンガポール・会社法務のポイント:カンパニー・シールとは?公証とは?

会社の書類においてその使用目的・提出先等によって、権限のある取締役のサインの他に、カンパニー・シールが要求されることがあります。カンパニー・シールは、日本で言えば社印に相当するものです。カンパニー・セクレタリー(*会社秘書役。会社法上の必要機関で登記されています)が社印を保管をしているのが通常です。

 

カンパニー・シールを押す場合にはいくつか注意点があります。まず、必ず会社の定款(メモランダム)を参照することです。定款には、カンパニー・シールを押すときの法的有効要件が規定されています。定款は各会社で内容が異なりますので統一された規定内容というものは特にありませんが、定款の規定の例として“カンパニー・シールを押すには、2名の取締役が連名で署名すること”“カンパニー・セクレタリーと取締役が連名で署名すること”など規定されている場合が少なからずあります。特に会社法改正以前(*従前会社は最低2人以上の取締役が必要でしたが2004年改正法により現在取締役は最低1人以上です)に設立された会社の場合、2名以上の取締役連名の署名によることと規定されていることがあります。このような規定になっている場合にはある取締役は単独ではカンパニー・シールを押すことができないことになりますし、仮に単独で押しても定款の手続きに従っておらず方式上の無効文書となります。なお、カンパニー・シールを押す手続きや条件の該当規定を変更するには、定款変更することが必要となります。

 

また、カンパニー・シールを押すのには、定款の規定で取締役会の承認が必要とされていることがほとんどです。したがってカンパニー・シールを押す前に、取締役会の承認を得るための議事録を用意しておく必要があります。取締役会の議事録はカンパニー・セクレタリーへ指示をして用意してもらいます。議事録のドラフティングや取締役会開催手続きに日数がかかるので、余裕を持って事前に準備すべきです。

 

取締役に海外出張が多いような場合に、取締役以外の留守役の人に委任してカンパニー・シールを押せるような方法があったほうが便宜なことがあります。カンパニー・シールは、定款にその旨もし規定があれば代理人が押すことも可能です。ただし、当然ながら取締役会承認議事録や個別の委任状など、必要書類が定款の規定に従って揃っていることが前提です。

 

次に、公証とは、国家資格のある公証人の面前で、ある書類に署名をすることによって、その文書が作成名義人の意志に基づいて作成されたこと、言い換えれば、確かに本人が文書を作成したことを公的に証明する制度です。公証を行うときには、本人確認のために、必ずパスポートやNRICなど写真付きの公的な身分証明書を持参する必要があります。なお、文書を外国に提出する場合に、文書の性質や用途によってはシンガポールでの公証の後さらに提出先各国の大使館で認証手続きを要する場合もあります。この場合には手続きに相応の日数がかかります。

 

上記より、

  1. カンパニー・シールを押す場合には、カンパニー・セクレタリーへ問い合わせ、定款を確認して取締役会承認など事前の準備を行うこと
  2. 公証が必要な場合は、文書の名義人・署名者(取締役等)が公証人の面前で署名を行うこと

 

について留意すべきです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.105(2007年09月03日発行)」に掲載されたものです。

本記事はは一般情報を提供するための資料にすぎず具体的な法的助言を与えるものではありません。個別事例での結論については弁護士の助言を得ることを前提としており、本情報のみに依拠しても一切の責任を負いません。

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