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政治

2022年4月11日

糖尿病などの慢性疾患の大流行に取り組む

 4月10日(日)、オン ・ イェクン (Ong Ye Kung) 保健相は、パンデミックが一段落したら、シンガポールの最も重要な国家医療課題は、病院中心の医療から、より患者中心の予防モデルへと移行する大戦略になるだろうと述べた。
 
 先月、シンガポール保健省(MOH)の予算審議の中で発表された「ヘルシアSG」と名付けられたこの構想は、一般開業医や家庭医、地域社会が、病気の早期発見と入院をできるだけ避けるために大きな役割を果たすようにすることを目的としている。
 
 Covid-19が去った後、シンガポールはより長期的な慢性疾患の大流行に取り組む必要があり、その中でも糖尿病は重要な疾患である。オン氏は、Yishun Community Hospital(YCH)に開設されたNational Kidney Foundation(NKF)の透析センター(病院敷地内に開設された初の施設)で講演を行った。
 
 シンガポールは、糖尿病による腎不全の患者数が世界一で、毎日約5.7人が新たに診断されている。現在、8,500人以上の透析患者さんがいる。
 
 オン氏は冒頭で、NKFがパンデミックの間、毎日人命を救ってきたことを称え、3月29日以降、Covid-19措置が大幅に緩和されたにもかかわらず、感染者数が減少しており、当時13,000人を超えていたのが、ここ数日で約4,000人になった。”これまでのところ、私の予測は間違っていた。一旦緩和すれば、ケースは上昇すると予想していたが、下がり続けている。一旦緩和されれば症例は増加すると思っていたのだが、減少の一途をたどっている。しかし、我々はまだ来週を見なければならない。”と述べた。
 
 また、糖尿病のように個人の食習慣や嗜好が関係する問題では、家族が信頼する約2,000人の開業医を動員した運動の方が、意識を変える上で効果的だと指摘した。
 
 開業医が患者に、「これは、あなたの家族のため、子供のため、両親のため、愛する人のために何かする必要がある」とアドバイスし、患者が何度も開業医に会うようなプライベートな環境では、その人が考えを変えるのに「十分な信頼関係がある」かもしれないという。
 
 来年半ばには、40歳以上の住民を対象に、自分の好きな開業医にかかることを約束させる国家プログラムを開始する予定だという。GPのアドバイスの多くはライフスタイルに基づくもので、早歩きやその他の運動など、地域社会のサポートが必要なものも含まれる予定である。
 
 オン氏は、政府は患者を助けるために「ポジティブな後押し」を考えなければならない。医療保険料の引き下げや食事に気をつけるためのクーポン券など、インセンティブとなりうるものを列挙した。また、ヘルシーSGの計画の詳細は、今年の第4四半期に白書として発表され、国会ではこの戦略についてじっくりと議論される予定であると述べた。
 
 NKFのアーサー・ラング理事長は、透析治療やケアの提供のほかに、腎不全の予防や遅延、GPとの連携による早期介入など、財団の大きな使命は、ヘルシアSGの戦略と非常によく合致している。今後20年間のNKFのビジョンは、透析センターの開設を完全に停止することだと述べた。
 
 このようなセンターは、2020年12月に運営を開始したものの、日曜日に正式に発足したYCHのセンターを含め、島内には40ヵ所ある。このセンターは、シンガポールのコングロマリットであるケッペル社の慈善事業部門から200万Sドル(約1億8,200万円)の寄付を受け設立された。
 
 透析センターはクー・テック・プアット病院(KTPH)に隣接しており、YCHが回復に重点を置くのとは対照的に、短期の治療や手術を行う急性期病院となっている。
 
 このため、患者をタイムリーかつシームレスに移送することができる。患者は透析のために他のセンターへ移動する必要がない。KTPHから退院した患者は、YCHに来て、このセンターで透析を受けることができる。医療チームのネットワーク、情報の流れ、治療ケアプランがつながることで、患者はシームレスなケアの継続性を得ることができるとラング氏はいう。
 
 また、NKFのYCHセンターは、腹膜透析を提供する最初の施設である。腹膜透析は、チューブを通してお腹の中に洗浄液を注入する、一般的に在宅で行われる治療法である。このセンターでは、トレーニング、トラブルシューティング、患者へのカウンセリングなどのサービスも行っている。
 
 NKFの他のセンターでは、血液を抜く針と、きれいになった血液を戻す針の2本を、週に3回、1回約4時間かけて挿入する血液透析が中心となっている。

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