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金融

2020年12月2日

世界的に国家債務が増加、シンガポールでは住宅ローンに懸念

 シンガポール金融管理庁(MAS=中央銀行)は1日公表した金融安定化報告で、世界的に国家債務の比率が高まっており、持続不能のリスクが浮上しているとの観測を示した。景気対策としての前例のないほどの財政出動で負債が拡大しているためだ。
 
 ウイルス禍による経済の縮小と相まって、国内総生産(GDP)比で国家債務の比率が高まっており、この先さらに財政出動が必要になれば、この傾向は続くという。
 
 国際通貨基金(IMF)と世界銀行の持続可能性に関する報告によれば、パンデミックは低所得国の支払い能力を損なっており、半数以上は借金苦の状態、あるいはそうなるリスクが高い状態にある。
 
 シンガポールではクレジットカードローンの貸し倒れ償却率が高まっており、家計の住宅ローン返済能力が悪化する兆しとみなせるという。無担保ローンを返済できない人は住宅ローンの返済にも窮するようになると考えられるからだ。
 
 クレジットカードの不良債権貸し倒れ償却率は、昨年第3四半期の5.9%に対し今年同期は9.1%。
 
 家計負債の総額は減少した。住宅市況鎮静化措置の効果で住宅ローン残高が減少したためだ。住宅ローンは家計負債の4分の3を占めている。家計が消費を抑制した結果、第2四半期と第3四半期のクレジットカード残高もGDP比で縮小した。

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