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社会

2020年7月28日

国民に心理的「疲弊」、ソーシャル・ディスタンシング不順守が増加

 新型コロナウイルス禍による活動規制が長引く中、シンガポール国民の間に規制に対する心理的疲れが生じており、相手との距離を保つソーシャル・ディスタンシングなどの規則を守らない住民が増えている。
 
 シンガポール社会科学大学のリョン・チャンフーン准教授は、ウイルス禍が人の行動に与えた影響について、◇「サーキットブレーカー」などの予防措置が感染拡大の緩和に役立ったと信じる人◇疑い深い人、特に対策が経済悪化につながるため懐疑的な人――の2タイプを生んだと述べた。疑い深い人は法的拘束力があるから規則に従っているだけ、というタイプ。このためソーシャル・ディスタンシングなどは守らなくても摘発される可能性は低いため、順守する気持ちが減じるという。
 
 シンガポール国立大学(NUS)社会学者のタン・アーサー氏によれば、海岸やショッピングモールではソーシャル・ディスタンシングを守っている人はほとんどおらず、守っている方が異端的存在。検査で陽性反応が出たのは人口の1%。大半は専用宿舎に住む外国人労働者で、感染はどこか別の地のこと、との感覚を国民は持っているという。
 
 しかしあつれきも生じている。26日、国軍のパラシュート部隊がセンカン総合病院に隣接する草地に落下するのを見学するため多数が集まったが、ソーシャル・ディスタンシングの順守を求めるアンバサダーと一部の見物人との間で口論があった。
 
 社会学者のポーリン・ストローガン氏は、ほとんどの国民は規則順守タイプだが、規則の境界を押し広げとする者はいつもいると指摘した。

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