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金融

2020年6月12日

新型ウイルス禍による債務の増加がリスクに=中銀総裁

 シンガポール金融管理庁(MAS)のラビ・メノン総裁は先頃行われた、国際金融協会(IIF)のティム・アダムズ会長との対話で、世界各国で債務が増加しており、コロナウイルスCovid-19後の最大問題となるとの認識を示した。
 
 メノン氏によれば、各国で財政・金融措置が講じられ、現在のところ債務不履行、資金不足のリスクは軽減されているが、借入金の増加は深刻で、一旦銀行が資金回収に乗り出せば、企業は破たんの恐れがあるという。IIFは世界の大手民間金融機関が参加する国際的な組織(本部ワシントン)。
 
 シンガポールは3回、補正予算を組み、国内総生産(GDP)の20%に相当する額を危機対策に計上したが、過去の政権が蓄積した剰余金があるため借金を回避できた。しかしほかの国では政府が経済対策のため巨額の借り入れを行っている。
 
 メノン氏によれば、新型ウイルスを封じ込むことができなければ負債はさらに膨らみ、債権の劣化で信用リスクは高まる。返済猶予も限度に達し、債権回収が始まれば、企業破たんの増加が予想されるという。
 
 各国政府、中央銀行が採用している緊急措置はいつまでも続けられるものではなく、処理が困難なほど負債が積み上がる前に出口戦略が必要だという。

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