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政治

2020年3月27日

補正予算案を上程、ウイルス感染による影響に対処

 ヘン・スイーキアット副首相・財務相は26日、総額484億Sドル(約3兆6千億円)の補正予算案を国会に提出した。新型ウイルスの感染拡大による経済への影響に対処するためで、本予算で組んだウイルス禍対策費(64億Sドル/約4,870億円)を加えた額は548S億ドル(約4兆円)と、国内総生産(GDP)比11%もの額になる。通産省も同日、今年のGDP増加率予想をマイナス0.5~プラス1.5%から、1~4%のマイナスに下方修正した。
 
 ヘン氏は「独立以来、最悪の経済縮小になると思われる。これに対処するための予算措置だ」と述べた。パンデミック(世界的流行)は解決までに少なくとも1年は要する見通しだという。
 
 政府が保有する準備金では足りないため、過去の政権が蓄積した準備金を最大170億Sドル(約1兆円)引き出す許可をハリマ・ヤコブ大統領から得た。
 
 補正予算額は本予算(1,060億Sドル/約8兆円)の半分近くになる。雇用確保、生活防衛、企業の存続支援が柱。
 
 雇用確保計画のジョブズ・サポート・スキームでは、社員(国民・永住者に限定)の賃金の25%を9カ月間にわたり支給する。賃金が月4,600Sドル(約35万円、本予算のスキームでは3,600Sドル/約27万円)以下の社員が適用対象。
 
 ウイルス禍の影響を大きく受けた航空・観光部門の企業に対しては賃金の75%を支援し、飲食業では50%を支援する。
 
 成人の国民に対する給付「ケア・サポート・パッケージ」では、給付額を当初の100~300Sドル(約7千~2万2千円)から、300~900Sドル(約2万2千円~6万8千円)に増やす。
 
 企業、自営業者支援では所得税納付の延期を認める。特定の商業不動産(ホテル、サービスアパート、観光施設、国際会議・展示場など)に対する不動産税を免除する。政府所有施設のテナントに対する賃料免除を強化する。200億Sドル(約1兆5千億円)を様々な融資に利用するための原資として取り置く。
 
 補正予算が案どおり承認されると、今年度の予算赤字は392億Sドル(約2兆9千億円)になる。ヘン氏は「ウイルスでシンガポール社会の結合力、心理的強靭さが試される」と語った。

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