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経済

2020年3月20日

旅行会社の経営が悪化、SIAは燃料ヘッジで大損

 各国が入国規制を敷く中、旅行会社はキャンセル続きで経営が極端に悪化している。ビジネス・タイムズの取材に応じた旅行会社によると、海外からシンガポールへの旅行予約は4月分までほとんどがキャンセルされ、シンガポール発の海外旅行の予約も50%ほどがキャンセルされた。
 
 ミレニアム・ツアーズ・アンド・トラベルのナラヤナン取締役によると、アジア人というだけで差別を受ける恐れから海外旅行をためらう例が見られる。ここ1カ月ほど、出社しているのはナラヤナン氏だけで、ほかの社員は休暇を取っている。
 
 観光コンサルティング業者マスターコンサルトのクー代表によると、アジア金融危機やサーズの時は危機終息から12~24カ月で観光業も回復したが、今回のコロナウイルスはアジア以外の地域にも感染が広がっており、回復に時間がかかるという。
 
 シンガポール航空(SIA)は輸送能力の削減、搭乗客の激減で業績悪化は確実だが、燃料に対しヘッジもかけているため、巨額の損失を被る見通しだ。OCBC銀行のアナリストは、SIAは銀行からの資金取り入れ、主要株主からの資金注入が必要になるとしている。
 
 SIAは第4四半期(1~3月)、航空機燃料の79%を1バレル76米ドル(約8,400円)でヘッジをかけている。また24~25年度まで58~63米ドル(約6,400~7,000円)の価格幅でヘッジをかけている。しかし石油価格は急落しており、21年度(20年4月~21年3月)に予想されるヘッジ差損は12億Sドル(約907億4,400万円)。
 
 DBS銀行のアナリストによれば、SIAは同年度に13億Sドル(約984億円)の赤字を計上する見通しだ。

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