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経済

2020年3月2日

貨物料金が高騰、労働力不足と輸送能力の縮小で

 中国との貨物往来で航空貨物料金が高騰している。新型ウイルスの感染拡大で労働者が職場に戻れないことによる労働力不足と航空便の削減で輸送能力が低下しているためだ。
 
 物流・サプライチェーン管理協会のレイモン・クリシュナン会長によると、ウイルス感染は欧州に広がっており、中南米、アフリカに広がる恐れもあり、これらの地の航空貨物料金に影響する可能性がある。
 
 中国発の航空貨物料金は天井知らずで、2倍、3倍が当たり前という状態だ。多数の中国発着便の取りやめで旅客機の貨物収容スペースが急減しているためだ。中国からシンガポールへの料金は1キロ当たり5米ドル(約540円)と従来の2~3倍。
 
 一方、港湾では旅行規制の緩和を受け労働者が職場に戻っており、ロイターによれば一部の港湾では通常以上の貨物を処理している。
 
 中国最大の深水港である上海の洋山深水港における2月20日のコンテナ取扱量は5万9,800TEU(20フィートコンテナ換算)と昨年の平均(1日5万4,200TEU)を上回った。
 
 コントロール・リスクの上海駐在員ケドル氏によると、企業は景気回復のことを今考えるべき時だが、当座の問題の解決に心を奪われているという。
 
 今回のウイルス禍では不測の事態発生への備えと調達先の多様化の重要性が浮き彫りになった。スーパーマーケットチェーンのフェアプライスは香辛料、缶詰食品、生鮮食品などを中国から輸入しているが、果物と野菜の調達に支障は生じなかった。輸出港が今回の騒動の影響を受けず、港湾業務を継続できたからだ。

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