2011年6月20日
『八日目の蝉』 角田光代
直木賞作家、角田光代の作品。昨年、NHKでドラマ化されていた。
不倫相手の子を誘拐して逃げる女。その女とともに暮らし、元気に成長していく少女。ある日、女は捕まり、少女は元の家庭に連れ戻される。しかし、少女が戻った家庭は、彼女にとって決して居心地のよい場所ではなかった。
やがて、少女は自分を誘拐した女を、実の母親のように感じ、懐かしく思う。誘拐した女も、少女に対して自分の娘のような感情を抱く。しかし、二人は会うことが出来ない。
私は男なのだが、この作品から、母性とは何かの一端を感じることができた。読み進めるうちに、引き込まれる小説である。
中央公論新社/ISBN:9784122054257
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.191(2011年06月20日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 氏家