2011年7月4日
『ウィキリークス以後の日本』上杉隆
日本の紀伊國屋書店が電子書籍市場に参入したので、試しに購入してみたのが本書。バスの中等で気軽に読めるのは良いが、価格を考えると紙の本の方が良いかもしれないと感じた。保管場所が不要という点は大きな利点。
さて、本書は自由報道協会(仮)設立の中心メンバーである上杉隆の著書である。歯に衣を着せない彼が一貫して指摘するのは、ジャーナリズムのあり方。日本の記者クラブ制度を通した政府の情報統制に異議を申し立てる。
私が上杉隆に興味を持ったのは、昨年の11月頃、尖閣諸島ビデオがYouTubeに流出した頃だった。日本の大半のメディアは「誰が動画を流出させたのか?」ばかりを追っていて、国民の目からこの情報を隠すことが重要だったかどうかを議論しないことを疑問に感じていた。そのような中、上杉隆が私と同じような意見を持っていたことを知り、興味を抱くようになった。
日本国外から発せられる情報を得ている方々にとっては、本書に書かれていることは別に目新しくない。主として日本発の情報を得ることが多い人々に読んでほしいと思う。
光文社/ISBN:9784334036140
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.192(2011年07月04日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 里見