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シンガポール不動産ワンストップ

2020年12月15日

再開発の可能性が高い物件の見分け方(シンガポール)

 Q1. 知り合いの会社が建物の再開発によって強制的に退去しなければならなくなった、という話を聞きました。オフィスの契約更新や移転を検討する際に、そのような事態を避けるためのポイントなどはあるのでしょうか?
 
 A. シンガポールではここ数年、建物の老朽化や建築制限の変化、需要・市場の変化などさまざまな事由が重なり、住宅やオフィスなどの再開発が活性化しています。また最近では、新型コロナウイルスの影響による資金繰りの悪化や中国・香港からの資金流入も相まり、建物売買に伴う再開発の流れが加速しています。
 
 タンジョンパガーのエリアだけを見ても、解体が始まったKeppel Towersやニュースでも流れているAXA Tower、Fuji Xerox Towers、購入先を探しているInternational Plazaなど、確定・未確定を含め比較的大規模な物件の再開発予定がいくつもあります。またこれらの再開発に伴う強制退去をめぐる問題も多く、Hub Synergy Pointの再開発では10万Sドルの内装費を掛けたテナントが、入居後すぐに受けた退去通知に不服申立てをしたものの認められなかった、という話が記憶に新しいところです。さまざまな企業がコロナの影響下にて移転を検討されるかと思いますが、以下のような部分には気をつけて頂くのが宜しいかと思います。
 

1.築年数と修繕状況

 現状の再開発物件は1970年代から1980年代に建てられた物件が特に多くなっています。築年数の経過に伴い、不動産価値や建物優位性を維持するための大規模修繕を必要とします。このタイミングで修繕に投資をするよりも売却を、と考えるオーナーもいます。企業としてはコスト削減の為に賃料の安い物件を契約される場合も多い状況ですが、築年数が経過して、直近の大規模修繕からも時間が経過している場合は、建物売買後、新しいオーナーが修繕をするよりも建て直しを選ぶ確率が高くなっています。
 

2.開発インセンティブエリア

 URA(Urban Redevelopment Authority、都市再開発庁)の規定によりAnson RoadやCecil Street、Robinson Road、Shenton WayなどのCBD周辺エリアに関しては、住居やホテル、生活共用施設などのオフィスだけではない生活関連施設を整備することによって、最大床面積の10%を超えない範囲でインセンティブがもらえるというスキームがあります。このように開発にインセンティブのあるエリアでは、大規模修繕をするよりも、更に大きな建物が建てられるインセンティブを活かして再開発を決めるということも現状では多くなっています。
 
 上記2点を踏まえて物件を選ぶことで、再開発に伴う問題を回避、もしくは事前に予測することが可能となります。ただし、AXA Towerのような大規模な修繕・増築工事中でも途中で工事を止めて売却、再開発となる場合もあります。そのため再開発物件を100%回避する事は難しいのですが、そのような事態に直面する確率を下げる事は可能だと思います。
 

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スターツコーポレーション(株)は1969年に創業、2011年よりシンガポール現地法人であるStarts Singapore Pte Ltdを設立し営業を開始致しました。現在では世界22カ国37都市にて業務を行い、シンガポール国内においても年間160社以上(2019年度実績ベース)の企業様に対して不動産サービスを提供しております。

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