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健康相談Q&A

2020年4月23日

将来の妊娠に備えて、自分の卵子を凍結保存することは可能なの?

 将来の妊娠に備えて卵子を凍結保存することは可能ですが、成功率、費用などの面からハードルが高いのも事実です。今回は、その方法、問題点を説明します。
 

卵子凍結とは?

 卵子を体外に取り出して凍結保存するのが卵子凍結です。受精卵や卵子の凍結は体外受精の発展に伴って進歩し、特にガラス化法という方法が開発されてからは、受精卵に関してはほぼダメージなく保存することができるようになりました。しかし、未受精卵の凍結は難しく、以前は成功率1~2%と言われていましたが、これも技術の進歩に伴って改善され、最新のデータでは凍結保存した卵子の体外受精は採取したばかりの卵子を使うのと遜色ないほどの成功率になりました。
 

卵子凍結の方法

 通常の体外受精と同じ方法で採卵を行いますが、受精させずに凍結を行います。その後、妊娠を希望した時点で解凍し、ご主人の精子と体外受精をして、受精卵を子宮内に移植します。
 

どんな人が対象?

 結婚してご主人がいる場合は、受精卵の成功率の方が高いので、体外受精後に凍結します。したがって、卵子凍結は、通常まだ結婚されていない方が対象です。もともとは、白血病や乳がんなどの悪性疾患を結婚前に発症し、抗がん剤や放射線治療などで卵巣機能が無くなる可能性が高い方が対象で、これを「医学的適応」と呼びます。それに対し、仕事やパートナーの都合で、今すぐ妊娠することができないが、将来の妊娠に備えて少しでも良い卵子を温存したい場合は「社会的適応」と呼びます。技術の進歩により成功率が上がり、また日本生殖医学会が2013年に卵子凍結のガイドラインを発表したため、日本でも卵子凍結をする施設が増えてきました。
 

シンガポールで卵子凍結は可能?

 シンガポールでは法律により、医学的適応は許されていますが、社会的適応に対する卵子凍結は許されていません。
 

費用はどのくらい?保険や助成金は使える?

 まだ、一般的とは言えない治療なので、施設によって費用は異なります。卵子凍結を専門にしている日本の会社(www.princess-bank.com/frozen/)によれば、1回の凍結に60万円~80万円くらいかかるそうです。保険は適用されず、また、通常の体外受精には市町村の助成がありますが、卵子凍結は対象になりません。
 

採卵に年齢制限はある?卵子はいつまで保存可能?

 卵子が採れる限り何歳でも可能ですが、成功率が低くなるため、40歳以上の方には勧められません。また、理論的には凍結卵子は何年でも保存できますが、母体年齢が高くなると妊娠後の合併症なども増えるため、保存期間を母体年齢50歳くらいまでとする施設が多いようです。採卵する年齢が若いほど成功率が高いので、希望する場合は早めにご相談ください。

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