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健康相談Q&A

2020年4月22日

肝炎を生じるウイルスの種類とワクチンについて

肝炎(hepatitis)ワクチンについて

 肝炎を生じるウイルスはたくさんあり、主な肝炎ウイルスはA、B、C型ですが、A型とB型肝炎にはワクチンがありシンガポールでも予防接種が受けられます。

A型肝炎ワクチン

 A型肝炎ウイルスは、ウイルスで汚染された水や食べ物(貝類など)を食べることで感染します。感染すると約1ヵ月の潜伏期間の後に発熱、全身倦怠感、下痢、黄疸(目や皮膚が黄色くなる)で発症します。A型肝炎ウイルスに有効な薬はなく、重症になると1~2ヵ月以上入院が必要な場合もあります。日本人の大半はA型肝炎ウイルスに対する抗体がないので、東南アジアやインド、アフリカなどの発展途上国に出かける人は予防接種をお勧めします。
 
 日本では2013年より1歳以上の小児もA型肝炎ワクチン(国産、3回接種)を受けられます。2~4週間空けて2回接種し、初回の6ヵ月後に3回目を接種しますが、ワクチンを2回接種するとA型肝炎の免疫ができます。シンガポールでも1歳以上からA型肝炎ワクチン(欧米製、2回接種)を受けられます。初回接種の2週間後から免疫ができて、初回の6ヵ月~1年後に2回目を接種するとA型肝炎の感染防御効果は10~20年以上続きます。

B型肝炎ワクチン

 B型肝炎ウイルスに汚染された血液、体液に接触することで感染し、急性肝炎を生じたり、慢性肝炎から肝硬変や肝癌を発症する危険もあります。主にB型肝炎ウイルスに持続感染している母親から生まれた赤ちゃんに感染したり(母子感染)、成人の性行為などで感染します。他にも母親以外の家族や保育園などから3歳以下の子供がB型肝炎ウイルスに感染するとキャリア(持続感染者)になりやすいです。
 
 世界保健機関(WHO)は1992年にB型肝炎を撲滅するため世界の子供全員にB型肝炎ワクチンを接種することを提言し、世界の180の国や地域でB型肝炎の予防接種を行っています。シンガポールも全ての乳児にB型肝炎ワクチンを3回接種します。
 
 日本では今まで母子感染予防の乳児のみ健康保険でB型肝炎の予防接種を行い、その他の乳児は任意接種でしたが、2016年秋から母子感染予防以外の1歳未満の全ての乳児も定期接種(公費負担)になります。

A型B型肝炎混合ワクチン

 シンガポールにはA型とB型の肝炎ワクチンを混合したワクチン(Twinrix)もあり、A型、B型肝炎ワクチンともに未接種の方にお勧めします。
 
 1歳以上が対象で、1歳~15歳の小児は2回(初回の6ヵ月~12ヵ月後)、16歳以上の大人は3回(初回の1ヵ月後、6ヵ月後)接種します。免疫効果はA型、B型肝炎ともに最低5年間は持続しますが、定期的に血液検査でA型やB型肝炎の抗体価を調べて、抗体価が低下してきたら追加接種を受けることをお勧めします。ワクチンの副反応として接種部位の疼痛・発赤、頭痛、倦怠感などがあります。

取材協力=日本メディカルケアー 医師・吉國 晋

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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