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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2020年3月9日

シンガポールで「引越し難民」にならぬようにするには

 3月は転勤・帰国のピークシーズン。昨年、日本国内で「引越し難民」現象が話題になりました。今春は、シンガポールでも「引越し難民」現象発生必至と見られていますのでご注意を。
 

日本国内での「引越し難民」発生原因

 日本での官民の「異動」が3月末に集中することと、特に引越し業界の人手不足深刻化により、一昨年あたりから3月末に引越しできない「取り残され組」が大量発生し、昨年には「引越し難民」という流行語にまでなりました。デフレ不況の時代は、企業のリストラが頻繁化し、相対的に五月雨異動が多かったこと、また、労働力も余剰だったことから、「引越し難民」現象は顕在化しませんでした。
 

なぜ今年はシンガポールでも発生見込み?

 3月最終週の引越し業者、特に日系大手は、2月初めには既に予約がほぼ埋まっていました。当地独自の原因としては、引越し業界の作業員の労働力確保がビザの問題も含め大変厳しくなってきたことです。また、高層コンドミニアムの比率が高まり、エレベーターの貸し切り予約に限界があることも一因です。

掃除業者や不動産業者も3月末は既に満杯

 掃除業者も作業員確保困難の深刻化から、3月末は予約が満杯のところが多くなっています。また、不動産の退去明け渡し検査に不動産エージェントに立ち会わせる場合、3月最終週はほぼ予定が埋まりつつあります。

ラッシュ対策は「時差通勤」

 早めに予約が確保できればラッキーですが、横並び的な3月末一極異動を回避することが抜本的対策と言われています。
 

見落としてはいけない要手配事項

A.家主への通知

 契約上、転勤解約条項(いわゆるDiplomatic Clause)で賃貸契約を中途解除するには、2ヵ月前までに家主に「書留(registered mail)」で直接通知する必要があります。エージェントに口頭で伝えた、などは紛議のもととなります。

B.家賃の自動振込の停止

 会社払いであれ個人払いであれ、うっかり忘れることが多い項目ですが、過払いしてしまうと回収に手間がかかります。

C.「内見非協力」が最も高額なクレームに

 内部造作・家具備品類では、壁や床へのダメージが金額的には最も大きなクレームになりますが、それでもせいぜい1,000~2,000Sドル(約8万~16万円)程度。かたや、契約上2ヵ月前から家主に認められている「後釜テナントを探すための内見」を断り続けると、権利侵害で1~2ヵ月分の家賃相当額を請求されることがあります。特に注意・配慮が必要です。

D.各種届出もお忘れなく

 大使館、日本人会、各種クレジットカード会社など。郵便については郵便局で有料の転送サービス(シンガポール国内、国外)の手続きができます。

文=木村登志郎 (パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

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