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シンガポールでKANPAI!

2016年6月6日

シンガポールでKANPAI! 第3回

今回のKANPAI人は…Web_IMG_7324_fix

阿部 太一さん
SISI Ltd. CEO

 

 

-当地での活動について教えて下さい
シンガポールで市場に流通していない厳選した日本酒を、毎月1本ずつご自宅にお届けする「酒丸」というサービスを展開しています。日本の名誉利き酒師と提携して市場に出回りにくい限定銘柄を仕入れているほか、酒蔵さんに交渉して酒丸オリジナルのお酒をカスタマイズしてもらうこともあります。また新潟県にある雪室にスペースを所有しており、1年間雪室で熟成させたオリジナルの雪室貯蔵酒を、会員の皆様にお届けしています。

 

-このサービスを始めたきっかけは?
今から2年ほど前に、日本酒に関するB to Bのビジネスを始めました。酒類全般の値段が高いシンガポールにおいて日本に近い価格帯でお酒を提供したいと思っていたのですが、やはり大手の卸売業者さんに比べると運送面のコストなどが高くなり、行き詰まってしまったんです。しかし、お酒を通じて何か新しいビジネスをやりたいという気持ちがあったので、戦略をB to Cに切り替えてアイデアを練った結果、今の形態になりました。

 

-日本酒の魅力についてお聞かせ下さい
日本酒は一説によると起源が弥生時代と言われるほど、日本の歴史に寄り添って現在まで継承されてきた素晴らしい文化だと思います。作られる土地や酒蔵さんによって味が違うなど本当に奥深く、私自身もこのビジネスを通してその点に魅了され、今では利き酒師の資格も持つほどになりました。

 

-今後の展望は?
日本酒をワインのように、世界で通用する飲み物にするというのが我々のミッションです。シンガポールは日本酒に対する認知度がありニーズも高いですが、文化として定着させるにはまだ程遠い状態です。そのためには「機会」「教育」「価格」が大きなポイントだと思っています。「価格」についてはTPPなどで酒税の緩和を願うばかりですが、「機会」と「教育」については、イベントを行うなど積極的に日本酒に触れる機会を増やして、日本酒の文化や飲み方、作法なども伝えていきたいです。また、将来的には酒蔵をハブにして日本の土地を訪れてもらう「酒蔵ツーリズム」を行いたいと思っています。

 

-最後に、阿部さんの好きなお酒と飲み方を教えて下さい
日本酒は楽しむというより珍しい味を求めてしまうなど、どうしても職業目線になってしまうので(笑)、純粋に楽しむという意味ではウイスキーが好きですね。ボウモアのような薬草の香りがするスコッチを、ビターなチョコレートと合わせて飲むのが気に入っています。

 

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.303(2016年6月6日発行)」に掲載されたものです。

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