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熱帯綺羅

2016年9月19日

動物と快適に共存する社会を目指して SPCAシンガポールと猫博物館の活動

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SPCAでは、研修を経たボランティアたちが施設内の動物たちに快適な環境を提供するために日々活動をしている。

シンガポールで暮らしていると、MRT駅近くの広場、公営住宅(HDB)の通路などでよく猫を見かけます。当地では住宅開発庁により犬は飼育できる種類や数が住居の大きさによって決められ、猫は完全な室内飼育が難しく、抜け毛や公共エリアでの糞尿トラブルがあることからHDBで飼育できないなど、ペットを飼うルールが設けられています。しかしながら最近では、別の動きもあるようです。日本とは随分違ったルールが存在するシンガポールのペット事情について「猫」を例に探っていきます。

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2016年1月に移転したSPCAの新施設は病院、シェルターなど各設備がより広くなり、最新の設備が加わり動物が快適に暮らせる環境が整備されている。
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SPCAの館内では、譲渡会などのイベントも随時行われる。動物保護に関するさまざまなパンフレットがあり、ショップではペット関係のグッズを買うこともできる。

 

SPCAシンガポールの歴史と役割

建国以来、過去最高のGDP成長率を達成した2010年頃からシンガポールにもペットブームが到来しました。人々の間に「ペットを飼える=お金持ちである」という認識も広まり、ペットは一種のステータスシンボルとなりました。シンガポール農業食品家畜庁(AVA)と調査会社Euro Monitor Internationalの調査結果によると、国内のペット総数は2014年時点で81万6,115匹にのぼり、2016年は82万4,600匹に増加すると予想されています。しかしペットの数の増加に伴い、高額な治療費が負担できない、躾ができないなどの身勝手な理由で捨てられる動物の数も増える傾向にあります。

 

このような捨てられた動物を保護し、里親探しを支援しているのが非政府系の動物保護団体「動物虐待防止協会(Society for the Prevention of Cruelty to Animals:SPCA)シンガポール」です。

 

SPCAシンガポールの親団体であるRSPCAは1824年、英国のロンドンで活動を開始しました。1954年、RSPCAはシンガポールで正式に活動を開始しますが、1959年にシンガポールが英国連邦内の自治領として独立すると英国の非営利団体は撤退せねばならず、RSPCAは新たにSPCAシンガポールとして再編成されました。

 

独立後、戦争により家を失い不法居住を余儀なくされていた人々のため、政府による住宅政策が実施され多くの人々がHDBに移動しました。新居に居場所を失った動物達は放置され、社会問題に発展しました。これを受けSPCAシンガポールは住宅開発庁と移転情報を共有し、住民がHDBに転居する前に動物を引き取るなど、動物の不法遺棄の減少を目指しました。1976年には動物病院が開院、不要な妊娠を防ぐ去勢手術などが行われました。

 

今では保護した動物をより広く快適な環境で受け入れられるよう、ティンガー・ロードにある最新の設備を兼ね備えた施設で活動を行っています。「ペットを飼う人が増えると同時に虐待、遺棄、そして住民同士のトラブルも増加傾向にあります。SPCAシンガポールは状況を改善するために、飼い主への啓蒙活動、相談の受付、絶対数の減少のための去勢・避妊手術の徹底などを随時行っています。今後は様々な保護団体とも連携を予定しています」(SPCAシンガポール広報官、メラニー・リーさん)。SPCAシンガポールでは寄付やボランティアを募ることで、より多くの動物を保護し、世話をする体制を整える努力を続けています。

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