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熱帯綺羅

2011年10月17日

朝・昼・夜の食事も、お茶で一服も コーヒーショップで

ヨーロッパとアジアの融合・カヤトースト

シンガポールのコーヒーショップで朝食の定番は、カヤトースト、ハーフボイルドエッグ、コピの3点セット。軽食としても人気があり、「シンガポールのナショナル・フード」とも言われるほど親しまれています。

19世紀後半以降、中国最南部・海南島からも多数の移民があり、その多くはイギリス船の調理場で働いていました。かつて船の上でイギリス人向けに作っていたトーストやコーヒーを売って生計を立てていた人々が海南島でも名物のココナッツと卵、砂糖で作ったジャム「カヤ(Kaya)」をトーストに使うようになり、「カヤトースト」として広く親しまれるようになりました。ちなみにカヤには、あめ色に煮詰めた砂糖の黄金色がきれいな「ハイナニーズ・カヤ」、材料や作り方はほぼ同じでパンダンリーフの風味が効いた鮮やかなグリーンの「ニョニャ・カヤ」の2種類があります。

シンガポールで一番古い海南風コーヒーショップといわれるのが、キリニー・ロードで1919年に創業したケン・ホーヘン・コーヒーショップ。海南人のオーナーが切り盛りする店で毎日手作りされるカヤ、炭火でこんがり焼いたトースト、自家焙煎のコーヒーが長年多くの客に愛されていました。1992年、国際金融ブローカーだった常連客のひとりが、自分と同じ海南系のこの店の味を守りたい、世代を超えて伝えられるようにしたいと同店を買収、コーヒーショップの運営会社となり、キリニー・コピティアムとしてフランチャイズ化しました。その後、同じく既存のコーヒーショップをフランチャイズ化したヤクン・カヤトーストをはじめ、特にここ5年ほどはトーストを売りにするチェーン店が続々と増えています。

コンデンスミルク入りのコーヒーが中華の小さなレンゲを添えたカップとソーサーで供され、トーストには海南由来のジャムが塗られ、トロトロのハーフボイルドエッグにはちょっと濃いめのソヤソースを垂らしてコショウを振りかける――これも「イースト・ミーツ・ウエスト」の形のひとつでしょう。

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海南風カレーが売りのコーヒーショップ。朝早くから多くの客で賑わっている。

 

文= 石橋雪江、写真=Eugene Chan

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.199(2011年10月17日発行)」に掲載されたものです。

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