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熱帯綺羅

2015年9月7日

シンガポール人の心を繋ぐ 生活の言語シングリッシュ

シンガポール人のアイデンティティの象徴に

ズィンキーさんは昨年、シングリッシュを写真で表現する「ビジュアル辞書」を作成するプロジェクト「Singaporelang-What the Singlish?」を始めました。「Singaporelang(シンガポールラング)」というのは、Singaporeとlanguage(言語)、slang(俗語)などを組み合わせた多義的な彼女の造語。「いろいろな言語の単語や表現を使って、新しい言葉を生み出してきたのがシングリッシュ。私も同じことをしたかったの」と、シンガポール人特有の発音でテンポよく話すズィンキーさん。写真は1枚ずつ、思わずシングリッシュのフレーズが飛び出しそうな場面を考え抜いて撮影したそう。今年出版された写真集では、各写真に複数の吹き出しが付いています。どんなシングリッシュが当てはまるか自由に考えて書き込め、ゲーム感覚で読める一冊となっています。当初はシングリッシュに関わるプロジェクトだと聞いて、政府の方針に反すると協力を渋る人もいたそうです。「でも、このプロジェクトがSG50祝賀基金(SG50 Celebration Fund)のサポートを受けていると話すと、安心してもらえたわ」とズィンキーさん。
今年のナショナルデー・パレードでは、語尾に付ける「lah」や、イカ(sotong)のようにぼんやりしている、というマレー語由来の表現「blur like sotong」などを形にしたフロート(山車)が現れました。建国50周年を祝う盛大なお祭りに、シンガポール人のアイデンティティの象徴としてシングリッシュが登場したのです。政府は、言語政策の面で標準英語を推進する一方、文化という面では、こうしたパフォーマンスやズィンキーさんのプロジェクトなど、シングリッシュを通じた文化活動を応援し始めています。人々が愛着を持って使い続けた結果、ついにシングリッシュは、シンガポールを代表する文化のひとつになったと言えるかもしれません。
最後にズィンキーさんに、日本人にぜひ知ってもらいたいシングリッシュの表現を教えてもらいました。「『Shiok(ショォック)』は、とっても良いということを表す言葉。語尾に感情を表すahを付けて、shiok ah!(ショッ・アー!)と使うことが多いわ。このとき、『k』は発音しません。ネガティブな意味の言葉だと『kiasu(キアス)』、人に遅れを取ることを恐れて、自分を常に優先させること。最後に『chope(チョップ)』、これもぜひ知ってほしいわ。ホーカーセンターなどで物を置いて座席を取ることよ!」3つの表現、覚えましたか? これが使いこなせれば、あなたのシンガポール生活はオッケーラー!。

 

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プロジェクトの展覧会は、ミドルロードにあるObjectifsで9月23日(水)まで開催、その後半年で島内数ヵ所を巡る予定。作品はパネルになっており、吹き出し部分を回転させて様々なシングリッシュ表現を当てはめることができる。その意味や由来は、英語、マレー語、タミル語、華語の4言語で説明されている。


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ズィンキーさんの初の写真集「Singaporelang – What the Singlish?」では、ホーカーセンターやエレベーター、HDBなどで撮影された、シンガポールらしい様々なシーンがあちこちに。


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“Relac one corner”という作品の前でくつろぐズィンキーさん。友達との日常会話はシングリッシュ混じりの福建語や英語だという。「外国に行っても、シングリッシュのフレーズを聞けばシンガポール人だとわかるでしょ。シンガポール人を外国人と区別する、大切なものなんです」

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.287(2015年09月07日発行)」に掲載されたものです。
取材・写真:門前 杏里

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