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熱帯綺羅

2015年9月21日

シンガポールに現存する名画座 「ザ・プロジェクター」

上映時間の掲示も昔の映画館のようなレトロな雰囲気。フロアにはカフェがあり、食事やビール、ワインも楽しめる。

上映時間の掲示も昔の映画館のようなレトロな雰囲気。フロアにはカフェがあり、食事やビール、ワインも楽しめる。

 

映画が好きな人にとっては、シンガポールはちょっと残念な都市かもしれません。確かに数多くのシネマコンプレックスがあり、話題作を見ることができます。しかし、なにか物足りない。日本にあるような、名画座やミニシアターと呼ばれる独自のこだわりで選んだ作品を上映する映画館がないのが残念、そう思う人は多いのではないでしょうか。そんな人にぜひ知ってほしいのが、ザ・プロジェクター。「Not Your Average Cinema」と標榜する通り、最新作を公開する封切映画館とは一味違うシンガポールの名画座です。

 

1970年代の歴史ある映画館が復活

ザ・プロジェクターを設立したのはシャロン・タンさんとカレン・タンさん姉妹。2人がアメリカやイギリスの大学に通っていた時、現地の名画座で映画を楽しんだ経験から、アイデアが生まれたそうです。
現在ザ・プロジェクターがあるゴールデンマイルタワー5階は、かつてゴールデン・シアターという映画館があったところ。1973年に開館したゴールデン・シアターは当時1,500席以上を擁するシンガポール最大の映画館でした。1970年代~80年代には中国語の映画で人気を博し、1990年代には成人向け映画館となり、その後、インドのボリウッド映画専門の映画館という歴史を経てきました。
ザ・プロジェクターとして正式にオープンしたのは今年1月1日。スタンリー・キューブリック監督の特集が組まれ、『2001年宇宙の旅』(1968年)、『シャイニング』(1980年)、『フルメタル・ジャケット』(1987年)、『ロリータ』(1962年)などが上映されました。
「これらの作品は、それまでDVDで観たことはあったとしても、やはり映画館の大きなスクリーンで観てみたいという人が多かったのだと思います。大変な反響がありました」とマーケティング担当のジェロム・チーさんは振り返ります。
ザ・プロジェクターで上映する作品は往年のハリウッドの名作、インディペンデント映画やフランス、イタリア、イラン、台湾といった多国籍の映画など多岐にわたります。また、コーエン兄弟やスティーブン・スピルバーグ監督作品の特集、史上最低の出来といわれながらカルト的な人気を誇る映画の上映など、名画座ならではの企画もあります。
「自分たちが選んだ作品を多くの人に観てもらえると、本当にうれしく思います。現在上映中の日本映画『私の男』も好評です。今後の計画として、鬼才デビッド・リンチ監督を特集して『イレイザーヘッド』『ブルーベルベット』『マルホランド・ドライブ』を上映する予定です」。
映画館にはリクエストを書ける小さな黒板があり、黒澤明監督作品や昔の話題作の名前が書かれていて、本当に映画が好きな人が集まってくる場所だと言えます。

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