2016年9月30日
緑に囲まれた一軒家で、本格和フレンチに舌鼓 「ルーウィンテラス」
ルーウィン・テラス
シティホールの喧騒を抜けて小高い丘を登ると、熱帯の濃い緑と花々に囲まれた一軒家の和フレンチレストラン「ルーウィンテラス(LEWIN TERRACE)」の建物が見えてくる。1906年に英国人の消防署長の住宅として建てられたというコロニアル様式の佇まいに、日常から少し離れて気持ちが穏やかになる。
エグゼクティブシェフ松本圭介さんによる和食の良さを取り入れたフレンチは、シンガポール在住の日本人のみならず、シンガポール人や欧米人などに広く愛されている。厳選された日本の食材をふんだんに使い、目にも舌にも美味しい一皿を楽しみに通うファンも多い。日系レストランならではのおもてなし、スタッフの細やかなサービスと笑顔も魅力だ。ランチ、ディナーのいずれにも利用でき、特別な日のパーティーやイベント開催の相談にも応じてくれる。
ルーウィン・テラスでは、世界の有名シェフとのコラボレーションや、日本各地の旬の食材を取り入れたり、日本酒とペアリングするなどスペシャルイベントが頻繁に企画されている。メニューは定期的に松本シェフによってリニューアルされるが、ルーウィン・テラスならではの特別イベントにも是非注目したい。
今回ご紹介するのが、9月30日に開催された「究極の和フレンチ・フュージョン」。
シンガポール・ミシュランガイドで星を獲得したbéni の山中賢二シェフと松本シェフの1日限りのコラボレーションが実現したのである。20年前、まだ新人だった山中シェフの最初のメンターが松本シェフだった。その2人がシンガポールで再会、キッチンで肩を並べて腕を振るった。
最初の一品は、20年前の2人の思い出の一品。桜チップで燻したウナギにハーブをマリネしてオーブンで焼き上げたもの。「当時、キッチンでウナギを1日20匹さばいてました」と山中シェフ。
アペタイザーとメインコースはそれぞれのシェフが一品づつ振舞った。松本シェフが牡蠣、山中シェフがロブスターを丁寧にアペタイザーに仕上げ、メインは松本シェフがラム、山中シェフが尾崎牛を手掛けた。
ラムの1品は、まるで秋の里山を歩くような素材使いと薫りの演出。五感を満たしてくれる松本シェフのセンスが光る。香ばしく柔らかいラムの味わいも絶品だ。ジューシーな尾崎牛を贅沢にもミンチして、肉に劣らない贅沢な素材を合せた最高級のハンバーガ―は山中シェフのアイデアだ。皿の上に風味の違うソースや素材を付け合わせて、何度も違った味わいを楽しめるように仕掛ける発想が2人とも似ている。「キッチンの中で楽しんで作ることを松本シェフに教わった。一番最初に誰のもとで修業したかということは、とても大事。」と山中シェフが語れば、「立派になって。今では彼から習うことも多いですよ」と目を細める松本シェフ。そんな二人の師弟愛が一流の料理から感じられる、心もお腹も満足のおまかせコースだった。