2015年11月16日
伝統的アジア料理を少しばかりの驚き、楽しさ、そして斬新な調理法で堪能するフレンドリーな空間
ディン・ドン
チャイナタウンのメインストリートから路地裏に入ると雰囲気は一変する。ショップハウスをリノベーションしたスタイルで多国籍なレストランやバーが連なるエリアは歩いているだけでもワクワクする。ディン・ドンはそのような雰囲気の中に溶け込む懐かしさと新しさが同居するアジアンキュイジーヌのレストランだ。
インテリアは黒を基調とした落ち着いた雰囲気。壁のオフホワイトは中華風テイストのインテリアを美しく演出する。ショップハウスの構造を活かした螺旋階段は、これから始まる食事への胸の高鳴りをドラマティックに演出してくれる。
ディン・ドンは単なるアジア料理ではなく、シンガポール、タイ、マレーシアといった、アジアのあらゆる地域で人気の料理を独自に取り入れた、創造的な料理の提案をコンセプトとしている。そこには料理長であるジェット・ロー氏の「子供時代の思い出を大事にしたい」という想いも加わっている。
まずグループで訪れた場合は食事の前に、タイのハーブが香るウォッカやシトラスを合わせた「Golden Mile」(17Sドル)、ゆずリキュールやヨーグルト酒などを組み合わせ日本をイメージした「Fujiyama」(18Sドル)など、オリジナリティを味わえるカクテルを食前酒として楽しんでほしい。
前菜は多くの種類の野菜を活かしたメニューが満載。野菜不足を感じることの多いビジネスマンにはとてもありがたい。注目したいのは新メニューである細切り野菜とポークリブの前菜「Vegetable ‘Kon Lao Mee’ with sliced pork」(18Sドル)。ジェット・ロー氏の故郷であるマレーシアのサバ州で作られた食器に盛られ、野菜をふんだんに使ったこの前菜はお酒のおつまみにもオススメ。
また、小ナスの焼き浸しに茹でた蟹と香ばしく焼いたエビを添えた一品「Burnt Nasu with crab and crispy shrimp」(20Sドル)はあっさりとした素材の味を活かした優しい一品。味の強い中華を食べ疲れた人にとっては一服の清涼剤となるだろう。
日本人には馴染み深い「味噌」を取り入れた自家製黒味噌豆腐と大根のサラダ「Homemade black miso tofu, daikon & ginger salad with Japanese dressing 」(15Sドル)は、ゲストにとって驚きと喜びを同時に感じることができる料理となるだろう。こちらは完全ベジタリアンメニューでもある。
メインディッシュでぜひ試してほしいメニューはパパイヤとチェリートマトが添えられた和牛チャーシュー「Wagyu beef char siew with pickled papaya and cherry tomato 」(29Sドル)。つけあわせのパパイヤと一緒にいただくと肉汁の旨味と濃厚だけどしつこくないソースとフルーツの酸味が絶妙なハーモニーを奏でる。
アプリコットソースで楽しむポークリブ「‘Nan Ru’ pork ribs with ginger and apricot 」(17Sドル)は、大人はもちろん子供もおいしくいただける味わいなので、家族で訪れた時でもぜひ注文したいメニュー。マリネされたポークを使っているのでそのまま食べても美味しい。
皮を香ばしく焼いたアヒル肉とパッションフルーツのカレー「Crispy duck curry with cauliflower and passion fruit 」(27Sドル)も忘れずにオーダーしてほしい一品。アヒル肉はアジアのスパイスであらかじめマリネされ、カレーと絶妙なハーモニーを奏でる。トッピングとして乗っている海老煎餅が心地よいアクセントとなっている。
デザートにはぜひ伝統的なマレー蒸しケーキを再解釈し、バナナをふんだんに使用したプレート「Mah lai goh ‘Malay Steamed Cake’ 」(15Sドル)を。ジェット・ロー氏は「東京ばな奈」がお気に入りだそうで、旅行で来た人には素敵なお土産話になるのでは。シンガポールスタイルのコピと一緒にどうぞ。
ディン・ドンは比較的若い方との接待、会社関係の記念日ディナーにも十分使えるが、家族での特別な日に訪れてみるのもおすすめだ。フレンドリーなスタッフのサービスと若いシェフが開拓する「懐かしくて新しいアジアの味」をあらゆる層が楽しめるはず。