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社説「島伝い」

2013年4月1日

まだ近づいていない部分

シンガポールから日本へは東京、大阪、名古屋、福岡など大都市への直行便がほぼ毎日あり、経由便も含めると時間帯を問わず移動できます。日本行きの便数がまだ少なかった頃は、日本に急遽行かなければならなくなった時に一番早く搭乗できる便を探しても、翌日、あるいは翌々日まで待たなければならないこともありました。今では日時を選ばず移動することがほぼ可能です。時差が1時間しかないことも手伝い、約5,000キロメートルという物理的な距離に比して「日本とシンガポールは近い」と感じることがよくあります。

 
距離感を鈍らせるもうひとつの要素は、シンガポールのインフラが整備されている点。住み慣れた日本と比べても、多くの面で不便さを感じないどころか、むしろ便利な面もあります。さらに日本食レストランがいたる所にあり、地元のスーパーで味噌や醤油、日本米が手に入るなど、食の面でも充実しています。

 
シンガポール以外の国々を見ても、ほとんどの大都市と日本とが直行便で結ばれ、一見、日本と海外の行き来は自由自在になったかのように見えます。しかし、一歩踏み込んでみると、実はまだまだ日本と海外との往来を阻害しているものがあちこちにあります。例えば、日本で契約した金融商品や各種サービスに関して住所変更や名義変更などが発生した場合、日本国内居住者と同じルールが適用され、国内に住んでいないという理由で手続きが取れなかったり、郵送でのやり取りで期限までに手続きが完了できなかったり、といったケースは海外在住者の多くが経験したことがあると思います。日本の窓口に電話して事情を説明しても、「ルールなので」の一点張りで埒が明かない、というのも良くあることです。

 
しかし、今や海外との関わりを持たずに済ませられなくなっているのが現実。そうであれば、交通だけでなくあらゆる面で海外との“距離”を縮めた方が得策です。最近、日本が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明しましたが、本当の意味で日本と海外がもっと近づきやすい体制が整えられる良いきっかけになることを願っています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.231(2013年04月01日発行)」に掲載されたものです。

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