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社説「島伝い」

2013年3月18日

自前で持つものと任せるもの

013年度のシンガポール政府予算案が、今年は2月25日に発表されました。予算案の内容には、税制に関する変更も多く含まれています。自社内のみで経理処理を行っている会社では、これらの変更を経理担当者がすべて把握し、どの項目が自社にどのように影響するかを見極める必要があります。しかし、事務所の規模が小さく、担当者が経理だけでなく他の業務も兼任している場合は、なかなか難しいものがあります。専任者がいても、自社内での通常業務に追われて、外部の情報をきちんと追いきれていないケースもあります。

 
その点、経理のプロである会計事務所では、常にアンテナを張って情報収集を行っており、当地の税制に精通しているだけでなく、経理として押さえるべき情報を把握しています。税制の変更を企業が実際にどのように活用できるかもより幅広い視点で見ています。会計事務所のサービスは規模が大きい企業が利用するものというイメージがありますが、リソースが限られる中小企業こそ、専門家の力が必要なのかもしれません。もう一歩進めて、経理業務自体を専門家にアウトソースするのも一策です。

 
これは経理に限ったことではありません。例えば社用車。自社で購入・所有することはもちろん可能ですが、リースであれば、諸手続きもメンテナンスもすべてプロに任せて、コンディションの良い車をいつでも運転することができます。

 
どこまでの機能を自前で持ち、どこから社外の専門家が提供するサービスを利用するか、日々の業務を動かしながら考えることは言うほど容易いことではありません。しかし、変化のスピードがどんどん速まっている今、変化に巻き込まれて流されてしまったり、取り残されてしまうことのないよう、積極的に判断のポイントを作っていくことが大事です。

 
シンガポール政府が発表した予算案も、記事に目を通して終わるのではなく、自分達にとって失われるチャンス、あるいは新しく生まれるチャンスがある可能性を考え、専門家の力も上手に借りながら変化に対応していきたいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.230(2013年03月18日発行)」に掲載されたものです。

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