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表紙の人

Vol.292

2015年11月16日

碇川 ちふゆさん

TOMI SUSHI Singapore ECHIGOTEI 富寿し 越後亭 主任

AsiaX292_cover岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里出身。吉里吉里といえば、井上ひさし氏の小説『吉里吉里人(きりきりじん)』の舞台として知られている。夏は比較的涼しいが、冬は寒さが厳しい。自宅から最寄りのコンビニまで、車で10分はかかるが、海が綺麗で自然豊かな場所で生まれ育った碇川さんは、リゾートと呼ばれる地域に憧れを抱いており、子供の頃の一番の楽しみも年に数回行く家族旅行だったという。「一番強く印象に残っているのは東京ディズニーリゾート。そこのホテルで働く女性を見て、こんな風にかっこよくなりたいと強く思ったのを覚えています」。それがきっかけでホテル業界の仕事に興味を持ち、高校卒業後は仙台市にある東北外語観光専門学校に入学。国際ホテルコースを受講し、接客スキルを身に付けていった。

 

卒業後は仙台市内のホテルのバーに2年勤めたものの、地名度の高いリゾート地で働きたいという思いが高まり沖縄へ渡ることを決意。現地のカフェに就職し、念願のリゾート地勤務が叶った。しかし、順調かと思われた生活もたった1年で事態が急変してしまう。2011年3月11日に東日本大震災が発生し、津波により碇川さんの実家がある大槌町は壊滅的被害を受けてしまったのだ。幸い家族は全員無事だったが、今後の家族の生活が心配になり地元に戻ることを決めた。

 

大槌町に瓦礫がまだ残る中、これまでの経験を生かし、復興への願いも込めて心機一転、地元に新しいカフェをオープンさせた。経営の傍ら自分の時間も見つけやすくなり、趣味としてリゾート地巡りを楽しむようになった。その間にシンガポールを訪れ、治安が良く住みやすそうだと感じたのを機に、次は海外で働きたいという新たな目標が生まれた。「カフェ運営が軌道に乗ったので経営は妹に任せ、私はシンガポールで就職活動を始めました。そして富寿しグループから内定をもらい、来星してもうすぐ1年。新しい経験が多く、毎日が充実しています」。人見知りでもあるという碇川さん。街の喧騒に圧倒される時もあるが、そんな時に心の支えとなっているのが、お客様との触れ合いだという。「お客様の笑顔を見るため、今日も1日頑張ろうと思うんです」。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.292(2015年11月16日発行)」に掲載されたものです。

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