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Vol.291

2015年11月2日

荻原 英吾さん

日清食品ホールディングス アジア総代表 / Nissin Foods Singapore マネージングディレクター

東京都出身。中学、高校時代を「失われた10年」のなかで過ごすうちに、日本経済を牽引する存在になりたいとの想いが芽生える。一橋大学経済学部に進学し、社会人になってからは渡英しマンチェスター経営大学院で経営学修士を修了。「急速な景気後退が進むなか、このままでは世界から『日本ってどこにある国?』と言われてしまうのではないかとの危機感を覚えました。世界で大活躍する日本企業は、他の多くの日本企業に夢と希望を与えて、成長を加速することができる。そうした1社を創る存在になるべく、経営を学ぼうと思いました」。

 

大学卒業後は日本経済を金融面から支えられるようになりたいと、みずほコーポレート銀行に入社。日本企業には戦略が必要であると痛感し、シカゴに本社を置く経営コンサルティング会社のA.T.カーニーに転職した。

 

それから10年が経ったある日、日清食品の現社長である安藤徳隆氏との出会いが荻原さんの人生を動かした。「ひょんなことから安藤氏と食事をする機会がありました。会話が弾み、話題は祖父・安藤百福氏が世界で初めて発明したインスタントラーメンに。そこでつい、日清食品は即席麺を発明した会社にもかかわらず世界では存在感が薄い、まだまだ成長できると指摘してしまったんです。すると、日清食品の世界戦略を担当して欲しいと声がかかりました」。日清食品に転職後、本社で東南アジアを含む新興国をターゲットにした成長戦略を策定、2014年4月にアジア総代表に就任。2015年4月から来星し、自ら事業を牽引することとなった。

 

荻原さんにとってのシンガポールは、成長の勢いに感銘を受けていた地だった。特に、貿易港としてシンガポールの将来的発展を200年前に見通したラッフルズ卿の慧眼と、シンガポールの経済的繁栄を実現した故リー・クアンユー元首相の戦略性に、尊敬の念に堪えないという。「経営者としての座右の銘は『五者(学者、医者、易者、役者、芸者)たれ』。物事の本質を捉え、症状を適切に把握して処方箋を提供し、将来の風を読み、時に必要な役割で振るまい、そして前向きに人を惹きつけられる存在であるよう努めています」。「カップヌードルを、コカ・コーラ、マクドナルドと並び称される世界ブランドに育てたい」と語る荻原さんの挑戦はこれからも続く。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.291(2015年11月02日発行)」に掲載されたものです。

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