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2014年5月19日

和の食材、サービスに見る究極。食の仕掛け人が魅了された理由

クリエイティブ・ビジネス・デザイナー カルバン・ヨン氏

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景観保存地区であるダクストン・ロードに割烹&居酒屋レストラン『菊』がある。シェフであり、店のコンセプト・デザインからマネジメントまでトータルに手掛けるカルバン・ヨン氏が今年2月にオープンした。沖縄や福井などへ自ら出かけ、旬の旨い食材を直に取り寄せている。ヨン氏は、2007年に香港からシンガポールにビジネス拠点を移してモダン・チャイニーズ・レストラン『One On The Bund』をフラトン・ベイホテルに構え、独自のコンセプトと美食で成功をおさめた。現在、高級店からカジュアルな店まで多くの和食レストランがしのぎを削るシンガポールで、『菊』をひっさげて新たなチャレンジを仕掛ける。年に3〜4回は日本を訪れるという根っからの日本好きという氏の話を聞いた。

 

― 現在、手掛けているビジネスについて教えてください。
レストラン経営をメインに、インテリアデザインやファッションデザインを手掛けています。洗練された服、美味しい食事、快適な住まい、どれも生きていくうえで欠かせないもの。近代的スタイル、オープンマインド(視野を広く持つ)をモットーに、衣・食・住に対する挑戦を続けています。

 

― 2000年に香港で飲食業のビジネスを開始して以来、次々と新しいユニークなレストランを手掛けられました。競合店との差別化を図るための秘訣は?
基本的に、素材の味を生かしつつ、新しいコンセプトを心掛け、独創的な食を提供するよう心掛けています。食を大いに満喫するためには、付随する空間も非常に大事。食器やインテリアの細部までこだわり、店づくりをしてきたと自負しています。客層は欧米人が多く、個人的には、彼らは往々にしてフュージョン、つまり、個性的かつクリエイティブなメニュー、さらに洗練された空間で食する環境を楽しむ人が多いと思う。香港の中国料理店の多くは味にフォーカスしすぎて、内装などには手間もお金もかけない。ワンランク上の総合的なサービスを提供することで、競合レストランとの違いを明確にしました。

 

― ターニング・ポイントとなった出来事は?
香港で一時は20店ものレストランを経営、従業員は2,000人ほどいました。しかし、様々な要因によるビジネス環境のアップダウンが激しいため、香港でのビジネスは非常にタフ。2003年のサーズ(重症急性呼吸器症候群=SARS)騒動の打撃は大きかったですね。反面、家賃が大幅に下落した時こそ商機ととらえ、出店のための契約を結びました。
危機的な状況にある時にこそ、新たな好機が訪れると考えます。そういう状況の中で、恒常的に収支を保つには、すべてに対して柔軟であることが必要。これまでいっしょにやってきたビジネスパートナーが既存ブランド店を更に拡大していきたい、と言い出したことも独立の道を後押ししました。私は今あるレストランに注力しクオリティを上げることに専念したかった。そんな経緯で、独自ブランドを開拓したことから、思い通りにビジネスをデザインできる環境を作り上げることができたと思っています。

 

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