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会計・税務相談

2023年5月10日

Q.シンガポールにおける祝日の取り扱い

Q. シンガポールでは、祝日が日曜日の場合は翌月曜日が振替休日とされますが、祝日が土曜日の場合はどうなりますか。

 A. シンガポールでは、法律で定められた祝日が年間11日あります。例えば、土日休業の週休2日の会社の場合、土曜日と日曜日は給与の対象外となる無給の休日とされますが、祝日は有給の休日とされています。よって、祝日が土曜日だった場合は、平日に振替休日を1日与えるか、祝日分の給与を別途支払うかのどちらかを選択しなければなりません。
 
 会社によって、翌月曜日など会社が指定した日を振替休日にして休業するところもあれば、振替休日分として年次有給休暇の日数を1日増やすところもあります。人手不足などにより振替休日を与えられないような場合は、祝日分の給与として1日余分に支給することになります。
 

Q. パートタイム社員について、定められた勤務日以外の平日が祝日だった場合はどうなりますか。

 A. パートタイム社員に関しても、年間11日の祝日についてフルタイム社員と同様に有給の休日を得る権利があります。パートタイム社員の場合、フルタイム社員より就労時間数が短いため、祝日の有給休暇もフルタイム社員に対する就労時間数の割合に応じて付与されます。
 
 例えば、フルタイム社員の所定勤務時間が週5日、1日8時間である会社において、週4日、1日5時間のパートタイム社員として勤務した場合、フルタイム社員と当該パートタイム社員の週当たりの就労時間数は、フルタイム社員が週40時間であるのに対し、当該パートタイム社員は週20時間、すなわちフルタイム社員の50%となります。
 
 この場合、当該パートタイム社員に関する祝日の権利は、フルタイム社員の50%となり、祝日1日につき、フルタイム社員の50%の4時間が有給休暇として与えられます。祝日が出勤日にあたった場合、当然その日は有給の休日になりますが、当該パートタイム社員の所定勤務時間である5時間ではなく、4時間分の給与が有給休暇として支給されます。祝日が出勤日以外の日にあたった場合も、同じように祝日1日につき4時間分の給与が支給されます。
 
 上記のように、祝日がある度に有給の休日として給与を支給する方法以外に、年間の祝日の権利を時給換算し、それを基本時給に上乗せして支給するという方法も認められています。例えば、上述の週4日、1日5時間勤務のパートタイム社員の基本時給が20Sドルであった場合、祝日手当として基本時給に上乗せされる金額は、以下のように計算されます。
 
 当該パートタイム社員が権利を有する年間の祝日の時間数:11日×8時間×50%=44時間
 当該パートタイム社員の年間就労時間数:4日×5時間×52週=1,040時間
 祝日手当として基本時給に上乗せされる金額:20Sドル×44時間/1,040時間=0.85Sドル
 

Q. 祝日に出勤した場合はどうなりますか。

 A. 祝日に出勤した場合は、振替休日を与えるか、祝日出勤手当として1日分の給与を余分に支給することになります。祝日に出勤して残業した場合は、雇用法または雇用契約の規定に残業手当の支給が義務づけられていれば、それに則り残業手当を支給することになります。
 

著:Tricor Singapore Pte Ltd 斯波澄子

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