2022年11月17日
Q.名義株主台帳の作成・保管義務
目次
A. 名義株主とは、個人・法人を問わず、以下の両方に該当する株主を指します。
(a) 会社の株主台帳に登録されている株主が、当該株式に関し、他者の命令・指示・要望に従って会社の議決権を行使する習慣または義務(formal or informal)がある。
(b) 会社の株主台帳に登録されている株主は、当該株式に関し、他者の代理として配当を受け取り、配当に関する実質的な権利を有しない。
シンガポールでは、会社の株主に関する情報は、登記簿を介して一般に公開されているため、出資者が商業上の理由などにより、本人が出資していることを第三者に知られずに出資したい場合などに名義株主が利用されることがあります。
Q. 新たな遵守事項により、会社は具体的に何をしなければならないのでしょうか。
A. 会社(シンガポールで登記された外国会社の支店を含む)には、以下のようなことが義務づけられます。
(a) 名義株主台帳を作成し、会社の株主の中に名義株主がいる場合は、当該名義株主を株主として選任した者(Nominator)の詳細を記録しなければならない。
(b) 名義株主台帳の記録に変更が生じた場合、変更から7日以内に名義株主台帳の記録を更新する。
(c) 会計法人監督庁(ACRA)の登記官または他の公的機関の職員に名義株主台帳の提出を求められた場合、要請に応じて速やかに提出する。
会社は、自社の株主に対し、名義株主に該当するかどうかを問い合わせ、該当する場合には、当該株主の選任者に関する情報の提供を受けなければなりません。また、作成した名義株主台帳は、会社の登記事務所もしくは会社が選任した登記代理人の登記事務所にて保管しなければなりません。
Q. 名義株主は、自らの選任者について、どのような情報を提供する必要がありますか。
A. 名義株主は、その選任者に関して以下の情報を提供しなければなりません。
Q. 名義株主台帳はいつまでに作成しなければならないのでしょうか。
A. 名義株主は、基本的に、自らが名義株主となった日から30日以内に、選任者の情報を会社に提供しなければなりません。但し、改正法が施行された2022年10月4日以前から名義株主であった株主は、2022年10月4日から60日以内に選任者の情報を提供することとされています。
Q. 名義株主台帳の作成が免除されるのは、どのような場合ですか。
A. 以下の何れかの要件を満たす会社は、名義取締役台帳の作成および保管を免除されます。
(a) シンガポールで認可された証券取引所に株式を上場する公開会社
(b) シンガポールの金融機関である会社
(c) シンガポール政府の完全子会社である会社
(d) 公共の目的のために公法に基づき設立された法定機関の完全子会社である会社
(e) 上述の (a) (b) (c) (d) の完全子会社である会社
(f) 実質支配者に関して証券取引所規則・法令などの強制執行力を伴った開示要件および適切な透明性の要件を課しているシンガポール国外の証券取引所に株式を上場する会社