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2022年8月1日

ベトナム銀行業界:口座保有率が5年前の2倍に上昇 ~ デジタルバンク普及で70%に迫る

大きく変化するアジア。人口増加の著しいこの地域が近い将来、巨大市場となり世界経済をけん引する日が来る――。その地殻変動を探るべく、旬のニュースとそれを裏付けるデータで、経済成長著しいASEAN諸国の「今」を読み解いていきます。

 デジタルバンク(実店舗を必要とせず、口座開設や預金、入出金、振り込み等をすべてスマホ上で完結させさられる業態)の普及を追い風に、ベトナムで銀行口座の保有率が急上昇している。2017年に3割台だった同保有率は、現在7割近くまでアップした。ベトナム政府が掲げた「2025年の段階で成人の80%が銀行口座を保有」という目標は、かなりの確率で達成可能になったといえる。まず、このところ銀行口座の保有率が大きく上昇している様子を「亜州ビジネスASEAN」ニュースで確認したい。
 

ベトナム:銀行口座保有率68%、5年で倍増

 ベトナム中央銀行によると、銀行口座を保有する成人の割合は68%となり、2017年から倍増した。決済局のレ・アン・ズン副局長が17日明らかにしたもので、周辺国の70%に近づいたとしている。VNエクスプレスが同日付で伝えた。
 
 年代別では25〜34歳の口座保有率が最も高かった。一方、銀行取引全体に占めるオンラインの割合は90%を超えており、またモバイルバンキングの取引数は17年比で90%増えた。
 
 ズン副局長は、口座保有率が過去5年で倍増したことについて、デジタル社会の到来に向けた大きな一歩になったと指摘。中銀は商業銀行に対し、投資額の15%をIT(情報技術)分野に振り向けるよう指示しており、順守具合を定期的に調査するとしている。[「亜州ビジネスASEAN」 6月20日付ニュース]
 


 
 口座保有率の急上昇に貢献しているのは、前述したようにデジタルバンクの普及だ。スマホ保有者が成人人口の77%、インターネット浸透率が66%に達するなど、普及の下地が整ったことが背景にある。貧困解消に向けて必要な金融サービスを全国民に行き渡らせる「金融包摂」を目指す政府も、各種の政策支援を通じてデジタルバンクの普及を後押ししている。
 
 こうした中、現金以外の支払いは今後、毎年25~30%のペースで拡大していくとみられ、大手銀行傘下のデジタルバンクがフィンテック業者と提携しつつバーチャルクレジットカードを発行する事例なども相次いでいる。
 
 ある意味でベトナムは、銀行利用率が低かったがゆえにデジタルバンクが普及しやすかったともいえる(かつて電話を所有する世帯が少なかったために、固定電話よりも携帯電話の普及が先行した事例を想起させる)。結果的に、手軽に多様かつ有利な金融サービスを受けられる人が増え、目論見の通り「金融包摂」が進むという構図だ。
 

ベトインバンク:ホーチミン実店舗(亜州リサーチ撮影)

 
 なお銀行業界全体としても、旺盛な資金需要の下で業務が順調に伸び続ける状態にある。代表的な指標となる貸出残高のグラフを掲載するので、業界全体の成長ぶりをご確認いただきたい。
 

 

亜州リサーチASEAN編集部
亜州ビジネスASEAN

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