シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPベトナム:国産車メーカーのビンファストが初のEV納車 ~専業化に...

亜州ウォッチ!

2022年2月4日

ベトナム:国産車メーカーのビンファストが初のEV納車 ~専業化に向けてエンジン車から年内撤退へ

大きく変化するアジア。人口増加の著しいこの地域が近い将来、巨大市場となり世界経済をけん引する日が来る――。その地殻変動を探るべく、旬のニュースとそれを裏付けるデータで、経済成長著しいASEAN諸国の「今」を読み解いていきます。

 ベトナム初の国産車ブランドメーカーとして知られるビンファストが昨年(2021年)末、同社初の電気自動車(EV)を国内外で納車した。これに合わせてEV専業へ転身する方針を打ち出し、今年(22年)末までにエンジン車の生産を停止することを宣言したのだ。ベトナム最大の民間コングロマリット、ビングループの傘下であるビンファストは、2017年に設立されたばかりの新興メーカーだが、ベトナムの自動車業界で存在感が年々上昇している。21年の販売台数は前年比21.2%増の3万5,723台に拡大し、国内シェアが前年の5位から4位にアップ。その同社は東南アジア首位の自動車メーカーを目指しつつ、「25年の生産台数50万台」という野心的な目標を掲げていた。EV専業への転身によって同目標が修正される可能性はあるものの、将来を見据えた今回の方針転換は評価されるべきだろう。以下、一連の動きをまとめる。
 

 
 まず、記念すべき初のEV納車について、亜州ビジネスASEANニュースで確認していただきたい。
 

ベトナム:国産車ビンファスト、EVの納車開始

 国産ブランド車メーカーのビンファストは2021年12月25日、同社初となる電気自動車(EV)の納車を開始した。ベトナムニュースが26日付で伝えた。
 
 対象モデルはCセグメントスポーツ多目的車(SUV)の「VFe34」で、価格は6億9,000万ドン(約347万円)から。21年3月に予約受け付けを開始し、これまでに約2万5,000台を受注した。年内に100台近くを、22年1月には約2,000台を納車する。
 
 同モデルは容量42キロワット時(kWh)の電池と出力110キロワット(kW)のモーターを搭載。フル充電での走行可能距離は300キロメートルで、15分の急速充電でも180キロメートル走れる。車内には音声アシスタント機能を搭載。ベトナム語のどの方言にも対応している。
 
 ビンファストは国内外でEVを売り出す計画で、前月(21年11月)には米ロサンゼルスでVFe34の上位モデルに当たる2モデルを発表。22年の納車を目指している。[「亜州ビジネスASEAN」 12月7日付ニュース]
 


 
 次に、初のEV納車を機に専業メーカーへの転身を決断したことについても、同じく亜州ビジネスASEANニュースで確認しておこう。
 

ベトナム:ビンファストがEV一本化、今年末でエンジン車撤退へ

 国産ブランド車メーカーのビンファストは、エンジン車の生産を2022年末で終了する計画だ。レ・ティ・トゥー・トゥイ最高経営責任者(CEO)が米ラスベガスで5日開幕した家電展示会「CES2022」で述べたもので、エンジン車から撤退して電気自動車(EV)に一本化する世界初の自動車メーカーになるとしている。VNエクスプレスが5日付で伝えた。
 
 ビンファストはコングロマリット(複合企業)大手ビングループ傘下で、19年半ばに自動車生産を開始したばかり。年産能力25万台の自社工場を北部ハイフォン市で操業している。当初はエンジン車を製造し、後にEVにも参入。ベトナムで21年末、同社初のEVであるスポーツ多目的車(SUV)「VFe34」の納車を開始した。
 
 CES2022では、国内外で売り出す新たな2モデル「VFe35」「VFe36」を発表し、ベトナムと米国で予約受け付けを開始した。22年のEV販売目標は以前まで1万5,000台としていたが、4万2,000台に引き上げている。
 
 同CEOは、世界で10億台以上の自動車が近い将来にEVに切り替わると述べ、市場の成長性の高さに期待を示した。米国ではEV工場を3ヵ所建設する計画で、第1期を24年までに完成させるとしている。[「亜州ビジネスASEAN」 1月9日付ニュース]
 


 
 もちろん、EVの量産体制を築くのは容易なことではない。特に、EVに欠かせない専用電池をいかに確保していくのかが重要だ。これを解決するために同社は、米国で電気自動車(EV)用電池の工場を建設する計画を明らかにしている。第1期として10億〜15億米ドルを投じ、24年下半期の稼働を予定しているという。
 
 また、当然ながら多額の資金を調達する必要性にも迫られる。これを解決するための手段として、同社は米国で株式を上場させる意向を表明した。実現すればIPO時に30億米ドルを得られるほか、NY上場企業としての知名度アップ効果も期待できよう。
 
 最後に、この上場計画をまとめた亜州ビジネスASEANニュースを掲載する。具体的なスケジュールは未定だが、計画が煮詰まるにつれ、同社の注目度が一段と高まっていくことは間違いない。
 

ベトナム:ビンファストが米上場準備、30億米ドル調達へ

 コングロマリット大手ビングループは、自動車部門ビンファストの米国上場に向けて準備を進めている。2022年下半期に新規株式公開(IPO)して30億米ドル以上を調達する考えだ。VNエクスプレスが5日付で伝えた。
 
 米上場の準備としてまず、ビンファスト・ベトナム法人の株式を全てビンファスト・シンガポール法人が保有するよう再編する。また世界的な投資銀行や上場コンサルタントと上場計画について協議を進める。
 
 ビンファストは24年に米国で電気自動車(EV)の現地生産を進める計画とされ、米上場で調達した資金の一部をこれに充てるとみられる。
 
 ビンファストは19年半ばに自動車生産を開始したばかり。自社工場を北部ハイフォン市に構え、年産能力は25万台。現在はエンジン車を製造・販売している。EVは21年から22年にかけて国内外で発売する予定となっている。[「亜州ビジネスASEAN」 1月9日付ニュース]
 

亜州リサーチASEAN編集部
亜州ビジネスASEAN

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPベトナム:国産車メーカーのビンファストが初のEV納車 ~専業化に...