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法律相談

2021年12月6日

Q.シンガポールにおける商標について(2)

Q. 弊社では、日本で販売している商品を新たにシンガポールでも販売しようと考えています。先日のアドバイス(前回の記事はこちら)のとおり、シンガポールで商標の出願をすることに決めました。出願前に事前に調査すべきことはありますか。
 
 商標を出願するにあたり、事前に他社の登録商標で類似のものがないか、出願する商標が審査の基準を満たすかを調査することが大切です。
 
 もし、似た商標が先に登録されている場合には、せっかく出願しても登録されない可能性があるだけではなく、商標の無断使用として他社の商標権侵害に該当することも考えられます。また、商標が審査の基準を満たさず、登録されなかった場合には、再度別の商標を検討し、出願しなおす必要がでてくる可能性があります。したがって、出願する商標の事前調査は、重要な意味を持ちます。
 
 自社で、シンガポール知的財産庁(Intellectual Property Office of Singapore: IPOS)が提供するデータベース(IP2SG)の商標検索を利用して事前調査することも可能ですが、事前調査の重要性に鑑みれば、専門家に依頼をして詳細に調査をすることが望まれます。
 


 
Q. シンガポールにおける商標の出願から登録までの一般的な流れを教えて下さい。
 
 日本の商標登録出願制度と同様に、まず、シンガポール知的財産庁に対して、所定の様式に従い書類を提出します。日本語表記の商標をシンガポールで出願する場合には、英語の翻訳文等を願書に記載する必要があります。次に、シンガポール知的財産庁の審査官による審査が行われます。この審査では、出願の形式が正しいか、出願した商標に拒絶理由がないか、商標に特徴があるか、第三者の似たような商標が先に登録されていないか等、審査官が商標登録の可否について検討します。このままでは登録ができない出願については、拒絶理由通知という書類が発送されます。拒絶理由通知を受け取った場合には、補正等により拒絶理由を解消する必要があります。
 
 全ての登録要件を具備する場合は、出願の内容が商標公報に2ヵ月間公告されます。第三者は、この公告期間内に異議申立てを行い、審査の誤りを是正する機会が与えられています。異議申立てがない場合、または異議申立てが処理された後、商標登録の手続きへと進みます。シンガポールでは、日本と異なり、審査通過後すぐに登録にはならない点に留意が必要です。
 


 
Q. シンガポールで出願した場合、どれくらいの期間で登録になりますか。
 
 シンガポールにおいて拒絶理由等がない場合は、出願から10ヵ月程度で登録されることが多いです。日本では、商標の分類により異なりますが、審査着手期間は商標登録出願において8~13ヵ月程度、国際商標登録出願において12~14ヵ月程度です。したがって、シンガポールの方が日本より比較的短い期間で登録されることが多い印象です。
 


 
Q. 最近、シンガポールで早期審査制度の運用が開始されたと聞きました。具体的な内容を教えてください。
 
 2020年5月、シンガポールでは特許出願において早期審査制度の運用が開始されました。一定の条件を満たす出願については、早期審査制度を利用すると審査が早期に着手され、通常より審査を早くしてもらうことができるようになりました。
 
 また、シンガポールにおいて、特許出願の早期審査制度に付随する形で、商標においても早期審査制度の運用が始まりました。商標における早期審査制度のメリットは、登録を早期に行うことができ、事業計画の前倒しが可能であることや、 同じ商標を無断で使用している他社に対していち早く使用の中止を求めることができる点にあります。早期審査制度を利用することで、このようなメリットを享受することができるため、積極的に早期審査制度の利用を検討することが望ましいといえるでしょう。もっとも、早期審査制度を利用できる商標には要件がありますので、実際に当該制度を利用する際には、具体的な要件の検討が必要となります。
 

日本法弁護士・シンガポール外国法弁護士 山本裕子
日本法弁理士・シンガポール外国法弁理士 田嶋麻美

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