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会計・税務相談

2021年7月6日

Q.シンガポールの会社の事業目的

Q. シンガポールの会社の事業目的を変更するには、株主総会の決議が必要でしょうか。

 事業目的は、シンガポール会社法において以前は基本定款に必ず記載しなければならない項目の一つでしたが、2004年に施行された改正会社法により、必ずしも記載する必要がなくなりました。現在、多くの会社の定款には、事業目的が定められていません。ただ、2004年の会社法改正以前に作成された定款をそのまま変更せずに使用している会社や、株主が会社に対して事業目的を制限しようとする会社では、今でも定款に事業目的が定められている場合があります。そのような会社が事業目的を変更したり定款から削除するには、株主総会の特別決議が必要になります。
 

Q. 定款に事業目的が記載されていない場合、シンガポールの会社がどのような事業を行う会社であるかは、何を見ればわかりますか。

 現在は、会計企業監督庁(ACRA)に対して会社名の予約を行う際に、その会社の主要な事業を1つまたは2つ選んで登録することが義務づけられています。登録は、政府の統計局が定めるシンガポール標準産業分類(SSIC)に従って行われます。尚、SSICは何年かに一度改訂があり、同じ事業内容でもコード番号が変更されることがありますので、ご注意ください。現在使用されているのは、2020年に改訂されたSSIC 2020です。
 

Q. SSICを見ると、自社の事業にぴったりのコードが見つからないのですが、そのような場合にはどうしたらよいでしょうか。

 SSICでは、あてはまりそうなコードがいくつもあったり、逆に1つも見つからなかったりすることがありますが、判断が難しくても最低1つは選ばなければなりません。キーワードで探したり、該当する業種の大分類から消去法で徐々に絞り込んだりすることにより、最も近いと思われるものを見つけるようにしてください。迷ったときには、解説を参照するとよいでしょう。解説には、それぞれのコードの事業内容の説明や、類似する他の事業コード、当該コードに当てはまる事業の例などが示されているので、それらを参照して他の事業コードと比較しながら選ぶとよいでしょう。また、選んだ産業コードの名称だけでは自分の会社の事業内容がわかりにくいと思う場合は、登録の際に自社の事業内容に関する70文字程度の簡単な説明を添えることもできます。
 

Q. 主要な事業について2つまで登録できるそうですが、そのうちの1つに将来行う予定の事業を含めてもよいでしょうか。

 主要な事業は、それを登録することにより、シンガポールの政府機関や第三者に対し、会社がその事業を主たる事業として行っていることを正式に知らしめることになります。ですので、新しく始める事業を登録する際には、当該事業の開始が社内的に正式決定され、その準備段階に入ってから登録した方がよいでしょう。そうでないと実際にその事業を行っていないのに行っているものと誤解され、回答に窮するような統計調査の提出を命じられたりすることになります。また、うっかり間違ったコードを登録しているような場合にも、受けられるべき政府の支援政策の対象者から除外されたりする結果につながりますので、気をつけてください。
 

Q. 現在登録している主要な事業を変更したい場合には、どうしたらよいでしょうか。

 まず、取締役会で主要な事業を変更する決議を行った上で、ACRAに変更の届出をオンラインで提出します。詳細については、会社の秘書役に相談してみてださい。
 

著:Tricor Singapore Pte Ltd 斯波澄子

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